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Tempest / TEMPEST
杉本 剛 ★★ (2009-02-12 02:47:00)
1973年リリースのファースト。ブリティッシュ・ジャズ・ロック・シーンに大きな軌跡を残したコロシアムが強力になりすぎたメンバー間の軋轢により解散した後、名ドラマー、ジョン・ハイズマンが画策した少人数編成のユニットだ。ベースにはコロシアムの後期のメンバーでその後ユーライア・ヒープに参加していたマーク・クラーク、ギターには元イギン・ボトム、ニュー・クリアスのアラン・ホールズワースを起用。当初はこのトリオ編成の予定であったが、結果的に元ジューシー・ルーシーのヴォーカリスト、ポール・ウィリアムスが加入して4人編成でスタートした。渋みと重厚さを併せ持つウィリアムスのヴォーカルと、時に重く時に流れるようなプレイを聴かせるホールズワースのギターが前面にフィーチャーされている。特にギターは後年のサウンドに比較するとハードなサウンドを意識していたようにも感じられるが、やはり純粋なハード・ロックのリフとは明らかに異なるやや軽めでテクニカルなタッチだ。アルバム全体に漂う独特の陰りはいかにもブリティッシュ・ロックらしく、筋金入りのファンにはたまらない魅力を持った一枚だが、癖のあるヴォーカルと暗めの空気によって、好みがはっきり分かれるかもしれない。バンドはこの後元タイム・ボックス、パトウーのオリー・ハルソールをゲストに加え、5人編成でBBCのラジオ番組に出演するなど精力的な活動を展開する。
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