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レティクル座妄想 / 筋肉少女帯
火薬バカ一代 ★★ (2008-11-23 02:11:00)
サイケなジャケット・アートワークに、HR/HM、パンク、ポップス、プログレ等、様々な音楽ジャンルからの影響が
闇鍋状態の楽曲、そして、希代のストーリーテラー・大槻ケンヂが歌い綴る独創的な歌詞世界・・・と、筋肉少女帯という
バンドの魅力が非常に判り易い形で凝縮された、彼らの代表作として名高い'94年発表の9thアルバム。
収録曲の完成度の高さも然る事ながら、本作の肝はやはり「歌詞」。普段、歌詞なんぞメロディのツマぐらいにしか
思っていない自分ですら、妄想、電波、猟奇、幻想、終末、アングラ、死への憧れ、過剰な自意識が乱れ飛び交う、
ダークでリリカル、かつエキセントリックな歌詞世界には強烈なインパクトを受けざるを得ない。
しかも、そうした猛毒を有した歌詞を、親しみ易いキャッチーなメロディに包んで届けてくれるのだから凶悪極まりない。
こんなんを10代の頃に聴いていたら、確かに人生狂わされてたかもしらんわなー。
特に、思春期を拗らせた文系少年のインナースペースの炎上っぷりを描いた痛過ぎる名曲②、橘高文彦のペンによる様式美HMナンバー⑤、
ドロリとした世界観を、フック満載のメロディで軽やかに歌い上げる⑥、戦犯として処刑された日本兵の遺書を引用した
重厚壮大な⑧、舞踏のリズムに乗って激走する、「ポルカ・メタル」とでも言うべき劇的な⑨といった楽曲は、
唯一無二の歌詞世界とハイクオリティな楽曲とが高い次元で融合を果たした、本編の大きな聴き所ではないかと。
投票数の多さが示す通り、まさに筋肉少女帯入門編にうってつけの1枚。

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