この曲を聴け!
On Fire / SPIRITUAL BEGGARS
クーカイ ★★ (2002-11-04 14:21:00)
皆さんが褒めているところを水を注すつもりは毛頭ないが、あえて苦言を呈しておきたい。
いや、私もこの作品のクオリティの高さを認めていないわけではない。メンバー個々人の持つ技量の高さ。'70~'80年代のROCKをそのままパクルのではなく、十二分に消化した上で構築された楽曲群。熱く激しく艶のあるVo。だが、今一つ物足りなく、残念な部分があるのだ。少しぐらい私個人の好みから外れるものが有ったとしても、目をつむって褒め倒しても良いのだが、それではあまりにも勿体無いのだ。彼らはもっと上を狙える。政則さんや広瀬氏が言うような、オリジナルの'70年代ROCKを啓蒙する役目だけを担わされた存在ではないはずである。私はそう信じている。
本題に戻そう。今一つ物足りないところは、Scary-Kさんが書いておられるように、歌メロのフックの無さと、バラエティに富まない楽曲群である。
歌メロに関して言えばワザとポップさやキャッチーなところを排除しているように見受けられるのだが、'70年代のHRバンドの名曲にはポップでもキャッチーでもなく格好良いとしか言えない楽曲が存在していたことを考えると、まだまだ"格好良さ"が足りない。そういう所は改善する余地が十分にあると思う。
ミドルテンポ一辺倒な部分は、このバンドの出自を考えると当然と言えなくもないのだが、それでも少しアップテンポに突っ走る曲や、軽快な曲が有って良い気がする。重くてグルーヴィーな曲も良いが過ぎたるは及ばざるが如しである。
残念な部分は、サウンドプロダクションである。個人的に音を詰め込みすぎな感がある。この手のROCKはある意味個々の楽器の音の「間」の取り方というか距離感が大事だと思う。スカスカにしろとは言わないが、ちょっと音が隙間無く詰まり過ぎていて、せっかくの楽器のからみもダイナミズムが失われている場面が往々にしてある。非常に勿体無く思う。
色々書いたが、現在こういう音を出すバンドはほとんど居ない。ある意味空洞化のど真ん中に位置しているのだから、売りようによっては天下が取れるかもしれないのだ。ぜひ頑張ってもらいたい。
→同意