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Entropia / PAIN OF SALVATION

ケイン ★★ (2002-10-22 23:39:00)
記念すべきPoSの1stアルバム。メジャーデビュー作といっても彼らは14歳の時に前身バンド「Reality」から活動を続けているので、5~6年のベテランバンドである。因みに初期メンバーにはMESHUGGAHにも参加したグスタフ・ヘルムも在籍した。
Track.1「!」はヘヴィなギターのカッティングから幕を開ける。これで私は一発でノックアウトされた。
2.「welcome to entropia」は海のさざなみからインダストリアルのようなドラムパターンが聴こえてくる。
3.「winning a war」では綺麗なギターアルペジオ、コーラスが絡み合いPoSの美的感覚が早くも顔を出す。ドラムマーチング、壮麗なクワイヤコーラス・・・。
4.「people passing by」ヒップホップのようなハネの要素を含みつつサビではメロディアスに歌い上げる。間奏の7/8拍子パートではスタッカート気味、テヌート気味、ドラムのパターンチェンジと目まぐるしく展開を変えてゆく。
5.「oblivion ocean」北欧独特の哀愁、憂いを帯びた曲。
6.「stress」どこかコミカルさを漂わせる曲。2拍5連が印象深い。ブレイク時のVo.Daniel Guildenlowの合いの手の入れ方はいつも絶妙である。
7.「revival」リフがすさまじくカッコイイ。Voの声の表情が変わってゆくところが圧巻。彼の持ち味、「声もまた楽器の一つ」を表している。泣きのギターも満載。
8.「void of her」泣きのギターソロ・インスト。次曲へのつなぎのような感じ。
9.「to the end」疾走曲。後ろのリズム隊が倍テンのところをノーマルテンポで泳ぐようなギターメロを流すのもこのバンドの特色。このエンディングでも荘厳なコーラスが聴ける。間奏のJAZZパートはご愛嬌でしょう(笑)。
10.「circles」幻想的な曲。これも次へのつなぎ。
11.「nightmist」前半はエモーショナルかつミスティックな雰囲気から、一転ベースソロからファンキーに。
12.「plains of dawn」これも北欧の哀愁漂わす名曲。途中アカペラになるところには凄みで寒気さえ覚える。
13.「leaving entropia」静かな幕引き。
14.「never learn to fly」日本盤ボーナストラック。優しさ、暖かみを持った曲。
Vo/Gt,Gt,Ba,Dr,Keyの五人組とかなり大所帯だが、鬼才Daniel Guildenlowの世界観を表すにはこの人数が必要なのだろう。他のアルバム3枚に比べて散漫な印象を受けるが(といっても他の3枚ともコンセプトアルバムというのもあるが)、これはやりたいことを全てブチこんだ結果だろう。位置づけとしては「プログレッシヴメタル」ということだが、音使いはメタルの中ではさほど重くない。ただただ、ダニエルのアイディアが無尽蔵である。センスも良い。DREAM THEATERの前座をやったことで、比較されたりもするが基本的に違う。そのあたりではPoSもDTもQueensrycheもFates Warningも根本的に違う。「プログレッシヴな思想」を持ってはいるものの、十把一絡げには出来ない個性を持っている。残念ながらプロジェクト、「OSI」にはダニエルは参加しなかったが、近々発売される予定のTransAtlanticのライヴDVDが楽しみである。何せツアーに同行したダニエルはCho,Gt,Key,Percussionと単なるサポートメンバーには終わらない八面六臂の活躍をしたそうである。この映像が見られる日が楽しみである。