この曲を聴け!
Imaginary Sonicscape / SIGH
casa ★★ (2002-11-13 06:46:00)
頑張ってSIGHを広めるぞ!
ってことで現時点での最新作を。
ブラックメタルと分類されますが、最近のその手のバンドを期待すると肩透かしを食らいます。
CELTIC FROSTみたいな邪悪なミドルテンポの曲が大半を占めます。これが実に味わい深い。
邪悪で荒々しくも、正統派の憂いを纏うギターリフを支えるのはシンプルでありながら痒い所
に手が届くような心地良いグルーヴ感のあるドラム。そしてコケオドシ感満載のダーティな声。
そのアンサンブルを世界で無二のものにしているのがシンセサイザーです。映画のスコアのよう
に多彩、オーケストラのように壮大、サイケデリックロックのように妖しい。
シンフォブラックと呼ばれる連中の発想を遥か上から見下ろすかのようなアレンジセンスです。
今回のアルバムは特にメロディが多彩です。前作、前々作は欧州的な美しさが支配的で、
それも素敵でしたが今回はそこにイーストコーストのような暖かい叙情や無常感、ロック元来
の頽廃した雰囲気、ポップスのようなセンス一発の確信犯的なフック、ホラー映画のような
陰鬱な美しさ、N.W.O.B.H.M.のような男泣き……とにかくありとあらゆるメロディが次から
次へと繰り出され、迷路をさ迷うかの70分弱、至福の一時を味わえます。
キャッチーですが全然浅くなくて、聴くたびに新しい発見がある。これは構成の美です。
細緻を凝らした美しい織物のような今作ですが、しかし纏う雰囲気はどこか粗野で猥雑です。
そんな「洗練された知性はプリミティヴな暴力に近付く」的なかっこよさはどこか60年代の
NYのパンク/ロックンロールバンドの真摯な姿勢と豪放磊落な体臭を彷彿とさせます。
というわけで、本当に彼らはマストですよ。前々作は海外のヘヴィメタルファンジン、
TERRORIZERで年間ベストアルバム部門で9位にランクインしたとか(よく知りませんが)。
海外での人気に較べてなんと本国日本での評価が低いことよ、と憂慮して熱弁する次第です。
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