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Thunder Seven / TRIUMPH
火薬バカ一代 ★★ (2007-12-21 23:57:00)
RCAからMCA RECORDSへと移籍して、'84年に発表された7thアルバム。一般的に(質はともかくセールス的に)
このアルバムまでがTRIUMPHの黄金時代とされる事が多いが、実際、本作はその評価に違わぬ優れた内容を誇る。
名手エディ・クレーマーがバンドと共同でプロデュースした、スケール感溢れるモダンな
サウンド・プロダクションのもと、これまで以上にKeyを積極活用し、メロディ重視の姿勢が打ち出された作風からは、
ますますHR/HM的なエッジは失われてしまったものの、どっこい、高いドラマ性と強力なフック、
そして哀愁のメロディを兼ね備えた楽曲のクオリティに関しては、未だ一点の曇りもない。
ミディアム・テンポの曲が大半を占めるため、通して聴くとメリハリに乏しく感じられてしまう構成に難あれど、
1曲ずつ取り出してみれば、その完成度の高さは半端なく、ダイナミックな①、躍動感に溢れたキャッチーな④、ヴァースから
サビにかけての哀メロが堪らない⑤、リック・エメット(G)の繊細な表現力がスパークする、ブルージーな泣きのインスト⑩と、
名曲/佳曲を多数収録。中でも“真夏の白日夢"という邦題通りの雰囲気を漂わせた前半から、スペーシーな浮遊感と
物悲しげなコーラスが印象的な中盤を経て、メロウでドラマティックな後半へと、組曲形式で綴られる⑥⑦⑧の流れは圧巻。
ただ、かつてのTRIUMPHなら⑦の後には疾走曲を用意していた筈が、ここではセミ・バラードとも
表現できそうな曲調の⑧へと繋がっていく辺りが、ロック色を薄めて歌モノ志向を強め始めた
バンドのスタンスを明確に表しているのかな、と。尤も、名曲には違いないので全く問題ないんだけどね。

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