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Tales From the Thousand Lakes / AMORPHIS
mokusatu ★★ (2006-08-18 03:02:00)
94年発表の2ndアルバムであり、デス・メタル界における革命の一つ。
デス・メタルの矜持と思われたファスト・ビートと獰猛さがズバーンと消し去られ、代わりに情感豊かな北欧民謡フレーズが全開放されたという、このためらいのなさが凄い。デス・メタルって何なんだろうと思わせるサウンド。
間延びして最早ドゥームの領域と言える歪んだリフの上を、ゆったりとした民謡ギターと透明度の強いシンセやピアノが常に流れ行き、そこに何故か救いようない咆哮デス声がドラマティックに物語を紡いでいくというスタイルは、今聴いても奇怪であり、何より不吉である。
ジャケが示す通り、暗黒に包まれた世界の神話を、雄大かつ神秘的に描く異形のデス・メタル・・・というかハード・ロック・ドゥームというか何というか・・・とにかくAMORPHISの原点です。
個人的には、前作からためらいのない音楽性の転換、獲得した情景の新境地によって、デス声は暴力ではなく暗黒的語りとして用い得る事を証明してくれた(歌唱としては何の魅力もない)アルバム。これは非常にプログレッシブな表現だと思う。
言い過ぎると、プログレッシブ・ロック界隈でデス声の使用が一度も流行らなかったのなら、それはプログレ界の狭量な見識を示すと言っていいと思うが(確かエイリオンとかいうアルバムだかバンドだかのプログレ・メタルで使用されていて、この人は早いなーと思った記憶がある)。
正直アレンジはマイナーぽいし、演奏は「贔屓目に言っても」B級なので、今現在、歴史の記念碑アルバムとして以上に楽しめるかどうか分かりませんが、実のところムード重視の姿勢は4th「TUONELA」とそれほど変わらないと思います。そんな説を見掛けた事はありませんけど。

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