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Under the Sign of the Black Mark / BATHORY
火薬バカ一代 ★★ (2007-05-16 21:40:00)
クォーソン率いる(・・・って率いるも何も正式メンバーは彼1人きりなんだけど)
スウェーデンのカルト・スラッシャー、'86年発表の3rdアルバム。
BATHORYと言えば、北欧地下世界音楽の帝王、もしくは宅録引き篭もりメタルの元祖とか、
BURRN!!誌のレビューで1点を獲得したとか、呪縛霊も逃げ出す密教のBGM(笑)だとか、堅気のメタル・ファンを
ドン引きさせる評判ばかりが話題になりがちのバンドだが、少なくとも本作に関して言えば、
同じように「ブラック・メタルの始祖」として崇められる初期VENOMやCELTIC FROSTの作品群よりも
遥かに明快な作風で取っ付き易く、且つ内容的にも非常に優れモノの逸品。
低音が全く効いていない、ペラペラでスカスカなチープ極まりないサウンド・プロダクションは相変わらずながら、
このボヤ~と霧のように不明瞭な音像が、逆に「草木も枯れ果てた不毛の荒野」的雰囲気を演出している
(ような気がしなくもない)し、何より、シンセサイザーや緩急の導入で、一種、宗教的な荘厳さすら
感じさせるようになった楽曲の数々が非常に素晴しい。
特に、ヒンヤリとしたシンセの音色を纏って、クォーソンの邪悪な絶叫Voとササクレ立ったリフが激走する様が
まさにプリミティブなブラック・メタルそのものな③('86年の時点でこんな音楽を演っていたとは驚かされる)や、
葬送曲風の厳粛なインスト・パートと、クォーソンの「聴かせる」Gソロを備えたドラマチックな④、寒々としたリフ・ワークを
フィーチュアした、荘厳な空気漂うスロー・チューン⑥といった楽曲は、BATHORYがいよいよ「ブラック・メタルの元祖」と
謳われるに相応しい、本格派としての貫禄を身に付け始めた事を物語る名曲に仕上がっている。
スピード・チューンとミドル/スロー・チューンの配分も良く、4th『BLOOD, FIRE, DEATH』と並んで、BATHORY入門編に最適の1枚。

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