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A Momentary Lapse of Reason / PINK FLOYD
チョッパー ★★ (2005-03-01 01:04:00)
「ロジャーを見返す事」。このアルバムはただその為のみに作られた。それが恐ろしい程の緊張感を
もたらしている。どの曲もギルモアの追い詰められた切迫感に満ち溢れている。ロジャーがソロになって
好き放題しているのとはあまりにも対象的だ。ギルモアも充分やって来たのでわざわざヤル必要はなかった
はずだ。しかしそれでもあえて「フロイド」というとてつもない十字架を背負う事を選んだのは彼の性格
のなせる技だ。私はこのアルバムが出たとき、まったく聴く気にならなかった。「ロジャーのいないフロイドなんて」
と思っていたからだ。ところが、あまりにも評判がいいので聴いて見てビックリした。確かにロジャーが醸し出していた
フロイドらしさ、特にコンセプト的な部分はさすがになくなっていたものの、それらをものともしない、いや、むしろ
これこそがまさに新しいフロイドなのだ、という力強い説得力に溢れた楽曲の数々に圧倒されてしまった。
ギルモア・フロイドについては、特にそれ以前のファンから色々言われる事もあるが、私は支持したい。
「フロイド」らしさ云々よりも曲自体が素晴らしいからだ。本作も次作もおそらくギルモアのソロであれば
出来なかった、「フロイド」の冠だからこそ出来たモノであろう。「フロイド」は、もはやメンバーの意思を
超え、それ自体がひとつの生命体をもち、メンバーの元に降臨しているとしか思えない。バンドではない。
意思だ。

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