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Forged in Fire / ANVIL
火薬バカ一代 ★★ (2010-05-04 22:31:00)
意表を突いて、妖しくドゥーミーなヘヴィ・チューンで本編の幕が開く'83年発表の3rdアルバム。
と言っても、おどろおどろしいリップスの歌唱が映えるその①は、現在でもライブに欠かす事の出来ない
ANVILの代表曲の一つだし、それ以外にも本作には、より雄弁に歌うようになったリップスのVoと、音数の多い
ロブ・ライナーのドラミング(ちょっと不安定だけどね/笑)を活かして前へ前へと押し出してくる、
彼ららしいパワフル且つキャッチーな名曲・佳曲がズラリ顔を揃えている。
スラッシュ・メタル勃興に大きく貢献した、前作『METAL ON METAL』に比べると幾らか荒々しさは減ったものの、
その分、重厚感、整合性、それに金属的色艶は格段に増しており、ちょっとRAVENの『ALL FOR ONE』を
思い起こさせる方向性かな、と。(そういやANVILの映画にちらっとマーク・ギャラガーが出てましたね)
前述の①、スラッシーなスピード・ナンバー②⑨、IRON MAIDENの“WRATHCHILD"を彷彿とさせる⑤、NWOBHM風の⑧、
猛々しく畳み掛ける好戦的なラスト・ナンバー⑩・・・といった楽曲も強力な仕上がりだが、
個人的に本編のハイライトは勇ましくドラマティックな名曲③で決まり。これを聴くと、前作からバンドが
その作曲能力(とアレンジ・センス)に、しっかりと磨きをかけてたことが良く分かります。
全盛期のANVILの勢いが封じ込められた『METAL ON METAL』にも引けを取らない力作。(本作発表後、初来日)
せっかく映画を切っ掛けに再評価の機運が高まっているのだから、この時期の作品の国内盤を
まとめてリリースしてくれると嬉しいんだけどなぁ。

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