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The Snow Goose / CAMEL
うにぶ ★★ (2003-03-04 00:12:00)
よく「映像のないサウンドトラック」みたいな言い方をされる(サウンドトラックには映像ついてないでしょって突っ込みはなしで)3rdアルバムです。
ポール・ギャリコの小説『白雁』(まだ読んでない…)を元につくられたトータル・コンセプト・アルバムです。
一部歌声は入るけど歌詞はなしで、全曲インストゥルメンタルと言えます。曲間はつながっていて、組曲風なので、全部で1曲と考えてもいいと思います。全16曲で長さは40分ちょっと。
そう言うと長くて難解で退屈な作品のように思われるかもしれませんが、楽曲が素晴らしく、最後まで飽きずに聴けます。
特に「醜い画家ラヤダー」のフルートやキーボードで奏でられる主題は印象的。「友情」の微笑ましい感じと、何となくいじらしいような雰囲気も想像力を刺激されます。「プレパレーション」でいきなり雰囲気が変わるのには少しハッとされられたりも。「ひとりぼっちのフリーザ」の演奏の、今にも消え入りそうな儚さも、続く「迷子の王女さま」のいよいよクライマックスという感動的な盛り上がりも素晴らしい。
曲のタイトルからの連想もあるんですが、どことなく臆病さや戸惑い、哀しさと、それを優しく柔らかく包み込むような、温かく繊細な空気が演奏から感じられて、聴いててほんわかします。ほんと映画を観たり物語を読んだ後のように。癒し系アルバム?(笑)
こりゃやっぱり小説も読むべきかな。イメージ壊したくないから読まずにいたけど…。
白熱の演奏バトルがメインとかいうのではない(「ダンケルク」の後半はけっこう白熱)のでHR/HMファンには退屈かもしれませんが、楽曲のストーリー性を大事にした表現力豊かな演奏は、歌よりも雄弁に物語っています。
キャメルファンにも人気で、名盤と名高い作品ですので、激しくロックしてなくて歌もなくても聴けるという人は是非。

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