この曲を聴け! 

月光蟲 / 筋肉少女帯
火薬バカ一代 ★★ (2008-11-10 23:02:00)
後に、再結成アルバム『新人』でリメイクされる事となる名曲“イワンのばか"を収録し、沼田元氣の手による奇怪な
ジャケット・アートワークといい、アングラ臭が濃密に匂ってくる歌詞世界といい、ドロッとネガティヴな雰囲気の漂う楽曲の
数々といい、筋肉少女帯のカタログの中でも、一際、ダークな(と言うか「病んでる」)作風を誇る'90年発表の5thアルバム。
収録楽曲は、やはり正統派HMとはかなり距離を感じさせる捻くれた味わいだし、とてもじゃないが「キャッチー」と言い難い
仕上がりなんだけど、聴けば聴くほど、この奇妙な味わいがクセになってくるのだから不思議だ。
アグレッシブなGリフとリズムが畳み掛けてくる①、シュールな歌詞と、橘高文彦の流麗なGソロが耳を惹く②、
鬱々としたバラード③、孤独な少年テロリストの短い一生を、やたら壮大且つポジティブな曲調で綴った④、
ミステリアスでメロディアスな女性Voとのデュエット・ナンバー⑤といった楽曲が並ぶ、アルバム前半の聴き応えも
然る事ながら、やはり本作のハイライトは⑨。凍てつくロシアの大地を想起させる寒々としたメロディを纏って、
橘高のネオ・クラシカルなGが疾走する様はガッツポーズ物のカッコ良さを誇る。全様式美HMファン必聴の名曲でしょう。
筋肉少女帯の作品の中では、ダークであると同時にハードな作風ゆえ、HMリスナーにも比較的取っ付き易い内容の1枚と言えるかも。

→同意