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Amnesiac / RADIOHEAD
kotora ★★ (2003-05-22 22:21:00)
前作からのインターバル8ヶ月で発売されたREDIOHEADの5作目。
前作"KID A"と同時期に産み出された作品で、"KID A"との一卵性双生児のように捉えて聴くこととなった。
「記憶喪失者」を意味するタイトルは、さすがに、前作同様軽く聴き飛ばすことの出来ない、重く意味を帯びた作品となっている。サウンド面では、若干バンド形態を感じさせる楽曲が何曲かあり、聴きやすくはなっているが、依然としてトムのエレクトロニカへの傾倒傾向が浮き掘りとなっているようだ。この作品のほうが、"KID A"よりも聴きやすいし、好きになりそうだ。
というのも、トムが"KID A"で語っていた、感情を排除した作品らしさは、今作では薄れており、人間味を取り戻した(取り戻しつつある過程)ように感じ取れるからである。先行シングルだった"Pyramid Song"を聴いた時は、今作も冷たく、感情排除の作品の傾向なのかと思ったのだが…、しかし、この"Pyramid Song"すら、リズムが変拍子にしろ、暗く冷たい曲にもかかわらず、しばらく止まっていた血管に血液が流れるのを意識できたように感じたのだ。
トムは、"KIDA"と "AMNESIAC"を意識的に分けたのだろうか?2枚組には出来ないと語ったその真意がこの2枚を聴き比べることによって、明らかになってくる。
トムは、"KID A"は個人的な作品だと表現していたが、この作品はどうなのだろうか?S誌では "AMNESIAC"はシェアする作品だと語ってた。そしてここから後戻りできないRADIOHEADは、トムはいったい何処に行くのだろうか?RADIOHEADに出会ってから、音楽は耳で聞くもの、心で感じるもの、目で確かめるものといった普遍的な鑑賞方法より、感性で受け入れ、敏感に受け入れるものだと思うようになった。ここ2作でそれを痛感するようになった。今後、僕にとってどのような作品になっていくのだろうか?
"Morning Bell/Amnesiac"は"KID A"にも収録のANMESIACヴァージョンで同名同曲異ヴァージョン。

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