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History of a Time to Come / SABBAT
火薬バカ一代 ★★ (2007-12-11 21:46:00)
マーティン・ウォルキーア(Vo)やアンディ・スニープ(G)らが、学生時代に結成したバンドHYDRAを母体に誕生した、
英国はノッティンガム出身の4人組スラッシャーSABBATが、'86年に制作した2本のデモテープの好評を受け、
ドイツのNOISE RECORDSと契約、'88年に発表したデビュー作がこれ。
スラッシーな疾走感を基調としつつ、そこにアコギ、女性Vo、ドラマティックなメロディを持ち込み、独特のサウンドを
作り上げていた2nd『DREAMWEAVER』に比べると、本作はかなりオーソドックスなスラッシュ・メタル色が濃厚。
幻想的なイントロに導かれてスタートする②にしても、8分以上に及ぶ本編随一の大作⑤にしても、
ダイナミックではあるものの、ドラマティックと言うのとはちょっと違うし、マーティンのVoスタイルが
現在とは異なるシャウト型な事と併せて、より荒々しさと疾走感が強調された仕上がりと言える。
とは言え、如何にもブリティッシュ然とした翳りを帯びて、次々に積み重ねられていくGリフのカッコ良さ、
ストーリー性に富み、スラッシュ・メタル・バンドらしからぬ構築感を湛えた歌詞と、その歌詞を、歌うと言うよりも
「語る」といった感じで綴っていくマーティンのVoの個性は、既に十分際立っている。
特に、アンディ必殺のGソロが炸裂する④や、静と動を巧みに組み合わせた劇的な曲展開が聴かれる⑥は、本作のハイライトかと。
尚、KREATORとの仕事などで知られるロイ・ローランドが手掛けたサウンド・プロダクションをバンド側は気に入っておらず、
最近リリースされた再発盤では、プロデューサーとして名を上げたアンディの手によりリマスタリングが施されている。
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