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Rough Justice / TYTAN
火薬バカ一代 ★★ (2009-11-18 23:12:00)
LOIN~BAD MOON RISINGのカル・スワンがフロントマンを務めていた事で知られる、元ANGEL WITCHのリズム隊によって
結成されたバンドが唯一残したフル・アルバム。レコーディング自体は'82年に完了していたのだが、所属レーベルの
崩壊に巻き込まれてお蔵入りの憂き目に会い、漸くリリースが叶ったのはバンド解散後の'85年。権利関係の複雑さから
長らくCD化が見送られ続けマニアをヤキモキさせた、所謂「幻の名盤」として有名な1枚でもある。('04年に初CD化)
いかにもNWOBHM出身バンドらしいドライブ感を十二分に保ちつつ、英国HR/HMシーン指折りの実力派シンガー、カル・スワンの
熱唱が活かされた、欧州仕立ての哀愁とドラマ性を兼備した収録楽曲群は、「幻の名盤」の評価に違わぬ素晴しさ。
特に、TYTANを語る上で欠かせない劇的な①は本編のハイライトで、この名曲を手始めに、キャッチーなポップ・メタル②、
RIOTの代表曲“ROCK CITY"を欧州風にアレンジし直した感じの③・・・と続くアルバム序盤の流れも掴みとして文句なし。
まぁ流石に30年近く昔の作品ゆえ、中盤には多少地味な印象の楽曲が幾つかあるし(とは言え捨て曲レベルではない)、
音の悪さも相当なもんだが、そうした諸々の不満を差し引いても、①に匹敵するカッコ良さを発散する名曲⑦に始まり、
憂いに満ちたスロー・ナンバー⑨や、ハード・ドライヴィンな⑪といった楽曲を経て、70年代ブリティッシュHRの
伝統を濃厚に伝える大作⑫にて締め括られる、アルバム後半のドラマティックな構成の輝きがくすむ事はない。
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