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Zooropa / U2
クーカイ ★★ (2004-04-20 00:05:00)
'93年発表。『ACHTUNG BABY』からあまり間をおかずに発表された本作は、個人的にはU2の諸作品の中でも最も過激な1枚と位置付けている。言うまでもなく、初めてU2を聴こうとする人は本作を最初に手にとってはならない。
前作から導入されたデジタルなアレンジが本作からさらに支配的になり、完全にエレクトロ・ポップの世界が展開されている。あの大ヒットした前々作をU2作品の標準規格に据えて考えると、本作は悪夢以外の何物でもなかろう。
しかし、「U2とはこうあるべき」みたいな思い込みをなくして聴いてみると、これもまためくるめくU2ワールドなのだ。
本作のキーワードは「やりたい放題」である。あまりにもシリアスかつカリスマティックな存在に祀り上げられてしまった自身を、前作で少し茶化してみた。しかしそれでも大真面目すぎたため、本作では羽目を外してみたという具合か。作り手側にとっては「これでもついて来れるかい」というところだろう。
「暴走して歯止めが利かない状態のU2」というのはかなり暴力的な言い方だろうか。ある意味「踏絵」のような作品であるとも言える。

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