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Infidel Art / SIGH
火薬バカ一代 ★★★ (2007-11-05 22:19:00)
浮世絵師・歌川国芳の作品「平相國清盛入道」を用いたジャケット・アートワークが異彩を放つ、'95年発表の2ndアルバム。
現在ではカテゴライズ無用の個性的なメタルを演ってるSIGHなれど、この頃の彼らは、メンバーの顔に施されたコープス・ペイントや、ダークでイーブルな楽曲の数々、そしてブックレットの「この作品を'93年に刺殺されたMYHEMのユーロニモスに捧げる」とのクレジットが物語る通り、バリバリのブラック・メタル・バンド。
それも、大半の収録曲が7分を超える大作主義に、メロディアスに歌い上げるクリーンVO、クラシカルなメロディ、ドラマチックな曲展開といった要素を大胆に取り入れたメロブラ・サウンドを披露。丁度、その手の音楽が大きな盛り上がりを見せていた時期だったが、ブームの中にあっても埋没することのない、確固たる個性を備えた本作は、当時、かなり愛聴させて頂いた覚えがある。(勿論、今も)
肝は、単なる彩り以上に大フィーチュアされ、サタニックな雰囲気の醸成から、壮大なスケール感、「静」と「動」のドラマ演出まで、大車輪の活躍を聴かせるKeyの存在。特に、禍々しい曲調の中で閃光の如く閃くピアノ・サウンドは絶品で(生ピアノなら尚良かった)、ある種の気品すら漂わせる事に成功している。
個人的には、OPナンバーに相応しい疾走感と、混沌としたインスト・パートが印象に残る①、荘厳なオーケストレーションを伴って疾走する様が、時にXを思わせなくもない(?)アルバムのハイライト候補②、ノーマルVoによるメロウな冒頭を経て、歪み切ったGリフがシュレッドされるストレートなブラック・メタル・ソング⑤、そして劇的さにかけては本編随一と言える、10分に迫る大作⑥辺りがお薦め。その他の楽曲も総じて出来は良く、捨て曲レベルのモノは見当たらない。
息も絶え絶えといった感じの喚き型Voの迫力不足と、素人っぽいノーマルVoの歌唱のせいで、チープさが漂う点が惜しまれるが、ともあれ、このバンド独特の美意識が際立つ内容に仕上がっているのは、間違いない。

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