この曲を聴け! 

MEGADETH
ばい(by) ★★ (2005-04-02 23:19:00)
・バックに照らし出されるホワイトハウス。スモークがうっすら漂うホール中に鳴り響くMAIDENが、否がおうにも期待を高めます。SexPistolsが何曲か流れ、ThinLizzyのJailBreakに続いて、急に音量を増したBoysAreBackInTown(わかりやすいメッセージだな、もちろん大歓声♪)。開戦の合図です。にしては穏やかな選曲だなあ、と思っていたのですが・・・
・文字通り真っ暗闇に包まれた会場に、ジェット機のエンジン音が不気味にゴウゴウと響き渡ります。緊張と興奮で空気が引き締まった途端、爆音と共にステージに姿を現わしたムステイン以下彼の忠実な部下達が、禍々しいツアータイトルに冠された「BlackMailTheUniverse」を叩きつけます。とにかく凄まじい音圧!ちょっ・・・のっけから耳が(汗) 僕の席は二階の一番右端(音響板の真下 泣)だったのですが、各パートとも音が良く聴こえました。よしっ、このライヴは絶対良いものになるぞ!
・何曲か立て続けに炸裂させた後、満足そうな表情で手を叩きながら、この日初めてマイクの前に立つムステイン。ライヴ中、終始ご機嫌そうなご様子でした 。RudeAwakening見る限りでは、その場で立ちっぱのままひたすらリフを掻き鳴らしているだけだったのですが・・・基本的にそれ程アクティヴなプレイヤーではないものの、結構煽ってましたよ、お客さんを(笑)。
・気になるムステイン以下のプレイヤー達。とにかく正確!(笑)。リフ、ブレイク、ソロ、一切乱れがありません。ムステインの指示も的確でしたが、それに沿って一糸乱れぬ精密機械のように動くメンバーたちは、まさにムステインの手足そのもの。かといって全員棒立ちかというと、ベーシストは序盤からスゴいオーラを放ってましたし、ギタリスト(アークエネミーのクリス・アモット系?)も、ちゃーんとパフォーマーとして機能していましたヨ♪ 心配はご無用です。音色はMEGADETHリードギタリストのそれでした(クリスやアルに近かったかな)。演奏も伸びやか且つソリッドで、クールでした。ドラムもカッコ良かったな!
・ステージ演出も凄く効果的。フラッシュが激しすぎて、お客さんの何人かが倒れるんじゃないかと怖かったのですが(ポ○モンみたく 汗)、ドラムスタンドに仕組まれたサーチライトがムステインを後方から射抜き、彼のシルエットだけが客席に伸びていく様は圧巻でした・・・機材に関しては、見ているこちらがどこか寂しく思えるほどスッキリした足場で、ただマーシャルが壁のように並んでいるだけの機材配置だったのですが、白銀と黒に統一されたステージ上の色彩が、どこか知的で鋭利な美しさを醸し出していて、その演奏の精密さも相俟って、なんともCoolでした。
・・・そう、とにかく美しかった。なんというか、今まで僕がヘヴィメタルを聴いてきて、感じたことの無い感覚がありました。高度な完成度というか、統制された美というか・・・常に完璧を求めるムステインの美意識が、おそらくそうさせるのでしょう。人間が作ったとは思えない様な精巧さと緻密さが、どこか神々しさすら覚えるほどの冷たい美しさを放っていました。ロックバンドやヘヴィメタルライヴの醍醐味も充分感じられたのですが、それ以上に、どこか芸術作品を鑑賞しているような感覚もありました。つくづく、スタンディングじゃなくて良かった(苦笑)
・ムステインが長い間手に入れたかったモノって、おそらくこれだったんだなあ。終焉を見据えて復活を遂げた真のMEGADETH像を、これだけのファンが指示しているという事実を、ムステインはどう思ってるのかな。演奏する曲にもよりましたが(苦笑)、ステージ上のムステインには、笑顔がありました。吐き捨てるだけでなく、伸び伸びと歌い上げる曲もありました。お客さんをイジる余裕も見せていました。パフォーマンスも思う存分やってました。本当は悲しいお別れの歌「A Tout Le Monde」 が、アップテンポでポジティヴに、どこか嬉しささえ感じられるように演奏されていたのは何故でしょうか。深読みかもしれないけど、なんだか「おめでとう、ついにやりましたね!」という気持ちで一杯です。
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