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Head First / URIAH HEEP
火薬バカ一代 ★★ (2008-05-24 22:33:00)
レコード・セールスの低下やら、メンバーの離散集合やら、URAIAH HEEP低迷期として、顧みられる機会の少ない
80年代の作品群なれど、この'83年発表の15thアルバムは、個人的には、デイヴィッド・バイロン在籍時代の傑作群と
比べたって、何ら遜色のない完成度の高さを誇っていると信じて疑わないのだが、どうだろうか?
初期のプログレ・テイストや、オカルト風味は綺麗サッパリと消え失せ、洗練されたハード・ポップ・サウンド化が
一層押し進められた作風には、古くからのファンは苦言の1つも呈したくなるだろうが、よく歌うミック・ボックスのGに、
コシの強いリズムを叩き出すボブ・デイズリー(B)とリー・カースレイク(Ds)のコンビの活躍が、楽曲が必要以上に
甘口になるのを防いでいるし、何より、英国のバンドらしい湿り気を帯びたメロディや、キャッチーなコーラス、
そして洗練されたアレンジが施された収録曲の数々は、ベテラン・バンドならではの曲作りの上手さがキラリと光り、捨て曲皆無。
中でも、強力なフックを備えた爽やかな③(作曲はマイケル・ボルトン&ジム・ヴァランス)、リッチー・ズィトーも
曲作りに関わっている産業ロック風味の⑤、ドラマティックなインスト曲⑥から展開していくハード・ロッキンな⑦、
中期MAGNUMを思わせる起伏に富んだ⑧、ピート・ゴールビーのエモーショナルな歌唱が映える⑨、
優れたポップ・メタル・ソング⑩は、URAIAH HEEPの新たな魅力が引き出された名曲に仕上がっているんじゃないかな、と。
ハイクオリティな内容にも関わらず、本作は全英チャート最高46位と満足行く結果が残せず、性悪ジャーナリストからは「もう引退したら?」
との問いも飛び出したが、それにミック・ボックスが答えて、温和な調子で言った台詞が「他の事をやってる自分なんて
想像もできないよ。俺はきっと最後には、客が十数人しか入っていない小さなクラブでギターを弾いてるね
——弾ける限りやるだけさ」 どうよ、この台詞。カッコイイと思わない?
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