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Chinatown / THIN LIZZY
はっちゃん ★★★ (2009-06-06 19:51:00)
HM/HRのレヴューで、しばしば「哀愁」「泣き」のような常套句が踊っているのを
よく目にするが、THIN LIZZYのアルバムを聴いて感じるのは、同じ哀愁は哀愁でも
アタマに「男の」が付く。同じ泣きは泣きでもアタマに「むせび」が付く。
おまけに「やるせない」を付けてもいいだろう。
北欧HMやネオクラの「哀愁」「泣き」とは異質の情感を呼び起こさせるTHIN LIZZYの
それは、フィルが担っていると言ってもいいかも知れない。幾多の修羅場を乗り越え
辛酸を舐めてきた男だけが創り得る世界。自身のアイリッシュであり、しかも混血児
というバックグラウンドも無関係ではないのだろう。
メロディック・デスに代表されるような、冠に「メロディック」を掲げている
音楽を聴くと、なるほど哀愁を湛えたメロディがふんだんに使われている。
しかし、その哀愁は押しの強い「どうだ!!泣いてるぞ!!これでもか!!」的な
ものを感じてしまう。(感受性の違いはご容赦願います)
本作も、メンバーチェンジしたにもかかわらず「哀愁」「泣き」は健在だ。むしろ
濃厚になっている。「LIVE AND DANGEROUS」がバンドの最高傑作というのを大前提と
踏まえた上で、この「CHINATOWN」、彼らの本道的に最後の傑作である。
(「THUNDER AND LIGHTNING」は本道ではない)
どうしても言っておきたいのが、このアルバムは優れた「レスポール・アルバム」だと
いう事。初代ギタリストであるエリック・ベルを除く歴代のLIZZYのギタリストは代々
レスポールを使用してきたが、本作で聴く事のできるサウンドは実に味わい深い。
ホワイトスネイクの初期の作品同様に珠玉のレスポール・サウンドが堪能できる。
アルバム1曲目「WE WILL BE STRONG」を聴くだけで、上記の内容に
納得してもらえると思う。
→同意