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Renegade / THIN LIZZY
いおっみ ★★ (2007-12-01 18:42:00)
スノーウィ・ホワイト参加第二弾。
プロデュースはバンドとメタル畑のクリス・タンガリーディスの共同。
●後期LIZZYの凡作
力の限り褒めちぎった前作「CHINATOWN」と同一ラインナップの作品であり、個人的な愛着は他のアルバムとなんら変わらない。
だがそれでもなお、正直「このCDを買え!!」とは言いがたいアルバムだ。
世評ほどに悪いとも思わないし、Leave This Town、Mexican Blood、It's Getting Dangerous辺りの渋めの曲では今まで通り本当に素晴らしいのだが……やはり薦めるのは難しい。
理由は肝心要の曲の出来が今ひとつで、フィルの声が荒れているからだ。
特にAngel Of Death、Renegade、Hollywood (Down On Your Luck)といった目玉になるはずの曲で顕著なのだから厳しい。
結果、前作までの栄華はなんだったのかと思うほどセールスが振るわず、次作ほどの話題性もないためLIZZY全作の中でも存在感がほとんどない。
解散に向けて走り出してしまった悲しいアルバム……そう思う。
●幻の没作「TROUBLE BOYS」
本作はキット・ウールヴェンとほぼ完成までこぎ着けた「TROUBLE BOYS」なるアルバムを没にし、3週間で製作した突貫作品としても知られる。
なお「TROUBLE BOYS」からは先行シングルのTrouble Boys(デイヴ・エドモンズのカバー)だけが発表されている。
完全な憶測でしかないが、本作には「TROUBLE BOYS」用の録音も含まれているのではないだろうか?
例えばNo One Told Him、Leave This Town、Mexican Blood、It's Getting Dangerousは所々オーバーダブされた声は荒れているものの、メインのラインは今まで通りの美声を聴かせてくれ、他の曲との落差が激しすぎる。
Trouble BoysがRnRソングで声も荒れていない事から、これらの曲が「TROUBLE BOYS」用であり、ヘヴィな他曲を追加したように思えて仕方がないのだ。
●メタル路線の萌芽
オープニングのAngel Of Deathはダーレン・ワートンのシンセがフィーチュアされ、次作「THUNDER & LIGHTNING」にも通じるメタリックな攻撃性が芽生えている。
プロデューサーをクリスに変更したのもメタリックな感触の為かもしれないが、いずれにしろ次作と比べて中途半端な印象は拭えない。
ポップなソロ作を作ったフィルがもし「LIZZYはヘヴィ、時代はメタル」と考えたとしたら、本作に関しては完全に裏目に出たと思う。
→同意