この曲を聴け! 

Best of the Beast / IRON MAIDEN
ギターの国から2002.遺言 ★★ (2004-08-23 01:02:00)
思い出の作品です。なぜならこの作品で僕はIRON MAIDENの偉大なる扉を叩くことになったからです。
1996年、僕は高校1年生でした。それ以前にもさすがにこのバンドの名前はもちろん知っていましたし、CD屋では実際に彼らの過去のアルバムを手に取って眺めたりもしていました。しかし、何故か買う気にはなれなかったのです。それは何故かと言えば、はっきり言ってその当時僕はまだHMにある種の偏見というものを持っていたからです。HMを聴かない人にHMの話をすると、聴いてもいないのに「気持ち悪~い」とか「時代遅れ」とよく言われますが、その頃は僕も例に漏れずその状態でした(笑)。でも気になっていることは事実でした。
そんな時にこのベスト盤リリースの情報を入手しました。
とにかく買って聴いてみようと思いました。
発売後すぐさま購入した僕は、家に帰ってまず伊藤先生のライナーを読みました。まったく知識がないので先生が書いていらっしゃることがこれっぽっちも理解できませんでした。
でもまあ、それはさておき。その後CDをトレイに置き、再生。とりあえず感覚に任せて2枚ぶっ通しで聴きました。歌詞も追いかけながら・・・。
初めてのIRON MAIDEN。正直よく分かりませんでした。何か釈然としないものが心に残りました。
しかし僕は何度も聴き込みました。来る日も来る日も。そして一ヶ月後には彼らの創り出す音楽の素晴らしさ、音楽観、アティテュードが分かるようになって来ました。「一度聴いただけでは全く分からなかった」・・・その感覚が僕を思考と追及の世界に引きずり込みました。そしてこれはある意味クラシックと一緒だなと考えるようになりました。僕がロックにハマる前、少ない小遣いを必死で工面して買いあさったクラシックの交響曲の名作群のあの難解さ、複雑さ、気高さ、壮大さ、イマジネーション。音楽の精神的な面ではクラシックとメタルとは同等の位置で語られてもおかしくない程素晴らしいと思いました。この考えは今になっても変わっていません!!!。
あれから8年、彼らの作品は全て購入し、伊藤先生の解説も完璧に理解できるようになり、ライヴも2回見ました。僕にとってはBON JOVIと並んで一番好きなバンドに君臨しています。しかし出会いはこのアルバムでした。この作品がなかったとしてもおそらく近い将来IRON MAIDENの音楽に触れることはあったのでしょうが、僕はこの作品で彼らの音楽に出会えて本当に良かったと思います。それは何故かと言えばいろいろな理由が挙げられますが、あえて強調するならばブックレットへのこだわりの素晴らしさ!!!。沢山の歴史を追った豪華な写真とエディーの絵の数々が聴いている音楽とマッチして、より彼らの独自の世界を心の中で描き出すのに一役買ってくれたと思っています。「KILLERS」の不気味なジャケットや馬鹿でかいエディーの写真を見て、「なんじゃこりゃ!?」と思うたびにどんどんその魅力にとりつかれて行った気がします・・・。しかし、今思えばCD屋で彼らのアルバムを眺めていた時点で、もう既に彼らの創る世界に足を踏み入れていたのでしょう。
長々書いてしまいましたが、もう廃盤とは悲しいです・・・。確かにこれ以後にも新しいベスト盤が出ましたので、リマスターもされていないこの作品は売れなくなって当然だと思います。しかしこのアルバムのトータル・コンセプト的な製作過程を考えると、IRON MAIDENの一連の作品の中に含めても堂々と自分の場所を主張できる作品だと思います。新曲や未発表ライヴ、そしてサウンド・ハウスの音源などを考慮すると、歴史的価値は高いと考えています。「IRON MAIDEN A to Z」も勉強になったし・・・。ちなみに代表曲「Iron Maiden」は1stよりもこっちのヴァージョンの方が好きです。
このアルバムの目玉はやっぱり新曲の「Virus」とサウンド・ハウスの音源でしょうか。あ、あとブレイズの歌う「Afraid To Shoot Strangers」のライヴ音源も今となってはかなり貴重です。ちなみにこのライヴ音源、曲の終わりをよ~く聴いてみるとこの曲の次には「The Evil That Men Do」をやってるな~というのが分かります(笑)。
ともかく中古で見つけたなら是非お手元に。もしそれが限定ブックレット・バージョンなら、もう買い逃す手は無いと思いますよ。

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