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Veni Vidi Vici / PAR LINDH PROJECT
火薬バカ一代 ★★ (2009-05-09 20:55:00)
THE FLOWER KINGS等と共にスウェーデンのプログレ・シーンを牽引する、「北欧のキース・エマーソン」こと
鬼才パル・リンダー率いるプロジェクトが'01年に発表した、古代ローマの英雄ガイウス・ユリウス・カエサルの
名言「VENI, VIDI, VICI.(来た、見た、勝った)」をタイトルに戴く4thアルバム。(邦題『幻想のノスタルジア』)
↑上の方同様、長いだけのプログレ・サウンドに興味はないのだけれど、このプロジェクトの場合、全編に満ち溢れる
ロマンティックな泣きメロがとにかく素晴しく、例え大作主義が打ち出されていようとも、シンフォニックな
アレンジが施された叙情的な楽曲の数々に、冗長さや難解さは皆無。取り分け、元クラシック・ピアニストという
出自を持つパル・リンダー氏の流麗なKeyプレイは本編の白眉で、生ピアノ、メロトロン、チャーチ・オルガンといった
様々な楽器を駆使して紡ぎ出される美旋律の数々は、聴く者の胸を打つ。
弦楽器の妙なる調べに壮麗な混声合唱、女性シンガー、マグダレーナ・ハグバーグの気高く冷え澄んだ歌声、
そしてヘヴィネスとダイナミズムを宿したリズムが絶妙に絡み合う収録楽曲に駄曲は一つもないが、中でも、
舞踏の如き力強さと優雅さを併せ持った大作③、タメを効かせて盛り上がっていく劇的な④、ハードに疾走する⑥、
息苦しいまでの感動を呼ぶ組曲⑨⑩といった圧巻の完成度を誇る名曲の数々は、間違いなく本編のハイライト。
パル・リンダー・プロジェクトの作品の中では、比較的メタリックな色合いが強く、HR/HMファンにも取っ付き易い1枚。
哀メロ派は必聴でしょう。(ただ、ラストのボーナス・トラックはいらんかったかなー)

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