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Mayhemic Destruction / MORTAL SIN
火薬バカ一代 ★★ (2006-12-05 20:17:00)
ロック未開の地(当時)オーストラリアから現れた5人組スラッシュ・メタル・バンドが、自主レーベルのMEGA METAL RECORDSから'86年に発表した1stアルバム(邦題は『地獄の叫び』。KISSか?)。僅か3日間のレコーディング期間と40時間のミックス作業のみで突貫制作、当初は2000枚しかプレスされなかったロー・パジェット作品でしたが、イギリスのMETAL FORCESを中心に高評価を獲得したことで瞬く間に完売。彼らにメジャー・レーベルとの契約をもたらす成功作となりました。
で、その音はと言えば、荒削りながらダイナミックな曲展開を売りにしたスラッシュ・メタル。ぶっちゃけて言えば、当時シーンにキラ星の如く溢れかえっていたMETALLICAのいちフォロワーといった感じでしょうか(でもラーズ・ウルリッヒは「良いバンドだよね!」とMORTAL SINに好意的だったとか)。前述した理由により音質はイマイチですし、キレに欠ける演奏(特にモタるDs)、邪悪さを狙った筈が逆に笑いが取れてしまったマヌケさ漂うアートワーク等、全体的に漂うモッサリ感は隠しようがありません。
しかしながら、その冴えなさ具合が本作の魅力を絶妙に担っているという。独特のイモっぽさが醸し出す、クドくない程度のオドロオドロしさをその身に纏い、垢抜けない湿り気を含んだリフ・ワークや、煮え切らない歌メロを拾うヘタウマVoの存在と併せて、NWOBHM的な雰囲気が強く漂う①②③④⑧といった楽曲は、なかなか聴き応え有り。
ふと我に返ると繰り返し聴いてる自分に気付く、切り捨て難い味わいを備えたB級スラッシュ・メタル・アルバム。
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