この曲を聴け! 

All for You / ANNIHILATOR
火薬バカ一代 ★★ (2006-08-17 22:28:00)
3枚の作品を残して、逸材Voジョー・コミューが脱退。代わりに無名の新人デイヴ・パッデンを加えて、'04年に発表された10thアルバム。
その新Voは、この御時世アメリカには掃いて捨てる程いそうな、クリーンボイスと怒号を使い分けるタイプだが、
流石ジェフ・ウォーターズの眼鏡に適っただけあって、③のようなスラッシュ・チューンも、④のようなバラードも
歌いこなせる確かな実力の持ち主。力んでもしなやかさを失わない声質は、前任者の「硬」の対して「軟」。
スタイル的には三代目Voのアーロン・ランドールに近い感じ?
そんな今風のVoの存在ゆえか、本作はモダンな空気が強いように感じられるかもしれないが、どっこい。
腰を据えて聴き込んでみると、スピーディでメロディアス、且つドラマチックというANNIHILATORサウンドの基本は
きっちり守られていることに気付く。まぁ1曲目のタイトル・チューンは、ジェフ自身が「NU METALっぽいだろ」と
ぶっちゃけてた通りの仕上がりなんだけど。とは言え、流麗なインスト・パートと、憂いを帯びた歌メロの魅力は
このバンドならでは。そもそも、流行を意識した曲をOPに持って来るのは昔からだしね。
そして何より、今回は初期のシアトリカルな雰囲気が復活を遂げている事が大きい。特に②⑤⑥⑨といった
大作志向の楽曲で聴く事の出来る、妖しくもドラマチックな曲展開と、それを絶妙にアシストするVoの
芝居がかった歌唱は本作の白眉。必聴。
あと個人的には、バラード⑧で久し振りにジェフの歌声が聴けるのも嬉しい(やはり上手い)。
今回は全編でBもプレイ。随所でメロディアスなフレーズを閃かせていて、久々にマルチ・プレイヤーの本領発揮といったところか。

→同意