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Pampered Menial / PAVLOV'S DOG
火薬バカ一代 ★★ (2010-01-02 20:35:00)
好きな70年代HRバンドは山ほどあれど(と言っても、他人に胸張れる程の数を聴いてるわけではないですが)、
好きなアルバムは?と問われて真っ先に思い浮かぶのは、このPAVLOV'S DOGのデビュー作。
Key奏者2人に、ヴァイオリニストを含む7人編成の大所帯にも関わらず、メンバーの誰1人として無駄に遊んでる
奴がいないという、彼らの作品の中では最もプログレ色が強く感じられる1枚ながら、楽曲は
無意味な大作主義に走る事なくコンパクトにまとめられているし、その作風に小難しさは欠片もない。
取り分け、全編を豊かに彩り、聴く者から涙を搾り取る哀愁に満ちたメロディの威力は絶大極まりなく、優美なピアノの
イントロだけで一気に惹き込まれてしまう①や、“晩秋"という邦題通りの、味わい深い哀感を湛えた②の様なメロウさが
前面に押し出され楽曲、各楽器が狂騒を繰り広げるスリリングな③、ラストに鎮座まします劇的な⑨といった
プログレ・テイストが一際色濃い楽曲の数々、そして両者の魅力を兼ね備えた名曲中の名曲⑥の素晴しさはもはや芸術級。
これらの楽曲の魅力を一層引き立てるのが、微細なヴィブラートと強烈な「泣き」を伴うデヴィッド・サーカンプの
超音波ハイトーンVoで、よく「この声を受け入れられるかどうかが、このバンドを受け入れられるかどうかの分水嶺」
と評される彼の歌声だが、好き嫌いは兎も角、この超個性的なVoは一度体験してみる価値あり。
先日再発された紙ジャケ盤は、リマスターによって音質が一段とクリアになり、凝ったアレンジを施され丁寧に組み立てられた
楽曲の緻密さが、よりハッキリと伝わって来る様になっているので、既に旧盤を持ってる方も買い直す価値は大いにありかと。

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