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Timystery / SABER TIGER

凶獣に牙を ★★ (2007-06-27 20:38:00)
95年に発表された、五人編成期SABER TIGERのもてる技巧・作曲能力が結実した大傑作の3rdアルバム。
楽曲の質の面は勿論、プレイヤー集団としてのグルーヴも最高潮に達しているといっても過言ではないだろうし、
以前から問題視されていたサウンドプロダクションも、ここにきてかなり向上し、
それまでとは比べものにならぬほどの音質が、否が応にも楽曲の良さを光らせている。
前半から中盤にかけては、ハードナンバーでたたみかけ
中盤から後半にかけては、プログレッシブ・ハードな曲や五人編成グルーヴの面目躍如的スリリングな曲と続き、
ラストは、アルバムタイトルを象徴するかのような不可思議な雰囲気のメロディアス・パワーバラードで締めくくる。
『実力派の技巧集団』
まさに、その名に恥じぬクオリティの3rdアルバムを残し、このラインナップでのSABER TIGERは解散した。
TIMYSTERYの全国ツアーの最中、木下の乗った車が事故を起こし、
木下の療養の為に、メンバーに活動休止を提言したところ、解散という結論に達したそうな。
また、木下は木下で、
自分が頭の中で思い描いた曲と、実際にSABER TIGERの楽曲として完成した曲とのズレに対するジレンマを抱えていたらしく、
このTIMYSTERYですら『凄い演奏をしている別のバンドの音を聴いているようだ』と、自らが創りあげた音楽に対する戸惑いを語っていた。
極めつけは『このままじゃ、俺はギターを弾くことが嫌になってしまう』という危機感をも抱えていたという。
・・・どんなに良いモノを創ろうとも、
自分が創りあげた音として納得できない木下の頑なさが、このラインナップでの活動に終止符をうたせたのかもしれない。
しかし、一からSABER TIGERの音楽性の礎を築き上げ、その礎を守りとおしてこれたのも、この木下の頑なさがあってこそのもの。
その礎の上にあるのも、この『TIMYSTERY』であるというのに。