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Lost in America / PAVLOV'S DOG
火薬バカ一代 ★★ (2010-01-03 22:41:00)
3rdアルバムを制作しながら、レコード会社に契約を打ち切られた事で空中分解してしまったバンドを
デヴィッド・サーカンプ(Vo)とダグ・レイバーン(Key)が中心となって再編、'90年に、彼らの地元である
セントルイスのインディー・レーベルからリリースした4thアルバムがこれ。(邦題は『彷徨える大国』)
中途半端にプログレ時代の面影を引き摺ることなく、専任サックス奏者をメンバーに迎え入れ、曲によっては
お洒落な女性コーラスを取り入れる等、思い切り良く洗練されたAOR路線への方向転換が図られている本作。嘗てのような
強烈な「泣き」が影を潜めてしまった点は物足りないし、突出した名曲が収録されているわけでもないが、良質な
サウンド・プロダクションといい、統一感のある作風といい、トータルの完成度では前作を上回っている(ように思う)。
殊に、唯一無二の存在感を誇るVoだけでなく、サーカンプ御大のアコギの妙技も堪能できるアルバム表題曲①や、
華やかな③、産業ロックに通じる⑤⑥⑦等、サキソフォンの音色が物悲しくアーバンな雰囲気を演出する
ポップ・チューンの数々、そして、個人的に本編で最も愛して止まないバラード⑩といった楽曲は、個性的なVoに、
元来のメロディ・センスの良さと、曲作りの上手さが掛け合わさった事で生まれる、PAVLOV'S DOG印の名/佳曲ではないかと。
近年、またメンバーが再結集して活動中らしいが、だったら1度ぐらい来日してくれんもんかなぁ。

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