この曲を聴け! 

Lemuria / Sirius B / THERION
火薬バカ一代 ★★ (2007-11-01 19:50:00)
欧州圏における高い人気とは裏腹に、フェードアウト気味だった日本での人気低下に歯止めを掛け、メタル・ファンに
「THERION健在なり」との認識を新たにさせた'04年発表の会心の一作。尚、クリストフェル・ユルソンが
己の創作能力をブーストさせた結果、2枚組仕様にて8th『LEMURIA』と9th『SIRIUS B』の同時リリースと相成った。
DISC-1の①で、いきなり4th『LEPACA KLIFFOTH』以降は封印されていたデス声が炸裂する事からも分かるように、
これまで作品の中核を成していたオーケストラ・サウンドが脇へと引き、代わりに、重厚なリフを刻むG、
パワフルなリズムを叩き出すDs&B、ゲスト参加のマッツ・レヴィンのVoといったバンド・サウンドが
前面に押し出され、メタリックなエッジとヘヴィネスが強調された楽曲が、本編の半数以上を占める。
勿論、壮麗なオーケストラ・サウンドは健在なれど、今回は「彩り」に徹している印象。また、コーラス・パートに
オペラの合唱隊ではなくソリストを起用した事で、楽曲の輪郭がより明瞭になった感あり。
まぁ、それはそれとして『LEMURIA』を聴いた時は、②⑨等、素晴しい曲もあるが、全体としては
少々地味かなとも思ったのだが、続く『SIRIUS B』のクオリティの高さはなかなかのモノ。
OPナンバーに相応しい荒々しさと勇壮さを誇る①、寒々しく怪しげな雰囲気が漂う③、ダイナミックに
展開していく組曲⑤⑥、そして名曲“THE WILD HUNT"を彷彿とさせるパワー・メタル・チューンながら、
オーケストラ・パートを巧みに織り込んだアレンジが秀逸な⑪・・・と、基本的に捨て曲なし。
この方向性は次作にも受け継がれ、より練り上げられた傑作10th『GOTHIC KABBALAH』を生み出すこととなる。

→同意