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Chase the Dragon / MAGNUM
火薬バカ一代 ★★★ (2008-03-23 17:18:00)
Keyがリチャード・ベイリーからマーク・スタンウェイにチェンジ。プロデューサーにKANSASとの仕事で知られる
ジェフ・グリックスマンを迎えて制作され、全英チャート17位にランクインする等、前作『MAGNUM Ⅱ』の
セールス的な不振を吹き飛ばすヒット作となった、'82年発表の3rdアルバム。
名匠ロドニー・マシューズの手による、美しく幻想的なジャケット・アートワーク、叙情的でファンタジック、且つ劇的な
楽曲の数々と、このバンドの何たるかがギュッと凝縮された作風を誇る本作は、MAGNUM初期の代表作としても
知られ、そのクオリティは、最高傑作と名高い5th『ON A STORYTELLOR'S NIGHT』と比べても、何ら遜色ないレベル。
NWOBHMムーブメントの勃発により、意気上がる英国HMシーンの影響を受け、これまで以上にトニー・クラーキンの
Gプレイが前面に押し出され、プログレ的な複雑さよりも、HM的なドラマティックな曲展開を重視した楽曲は、
マーク・スタンウェイの気高く気品漂うKeyプレイと、ここに来て、更に声の深みと表現力に磨きを掛けた
ボブ・カトレイの極上のVoに彩られ、ハードな楽曲は一層ハードに、ドラマティックな楽曲は一層ドラマティックにと、
よりメリハリの効いた内容に仕上がっている。特に、疲弊していく前線の兵士達の姿を借りて、
戦争の虚しさを悲しくも激しく歌い上げたOPナンバー①、ソリッドなGリフと叙情メロディが同居したキャッチーな②、
ラストを感動的に締め括る神々しいまでにドラマティックなバラード⑧といった楽曲の完成度の高さ、
そして何より、MAGNUMを語る上で欠かす事の出来ない、クラシカル且つドラマティックな名曲中の名曲③と④は、
「HMファンならこれを聴かずには死ねない!」と、思わず断言したくなる程の素晴しさ。
収録曲の平均クオリティ面では、5thアルバムに一歩譲るものの、突出した名曲を収めた本作が、個人的にはMAGNUMの
アルバムの中では一番好きだったりする。勿論、MAGNUM未体験者にも、入門編として強力にお薦めできる1枚。

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