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The Eleventh Hour / MAGNUM
火薬バカ一代 ★★★ (2008-03-26 23:47:00)
MAGNUM屈指の名盤と誉れの高い、3rd『CHASE THE DRAGON』と5th『ON A STORYTELLER'S NIGHT』の間に挟まれて、
イマイチ影の薄い'83年発表の4thアルバム。前作に引き続いてロドニー・マシューズがデザインを手掛けながらも、
ファンタジックと言うより、不気味さの勝るジャケット・アートワークや、トニー・クラーキン自身が担当した、
シンプルで飾り気に乏しいサウンド・プロダクションも、そうした印象を強めるのに一役買っているのかな?
確かに、全体的に華やかさに欠ける作風だし、本作には、バンドを代表するような名曲も収録されてはいない。
だが、プログレ色を排し、コンパクト且つストレートにまとめらた収録曲は、ソリッドなGといい、これまでになく
ヘヴィなリズムを叩き出すDs&Bといい、MAGNUMの全カタログの中でも随一と言うべきハードさを誇り、
それでいて、ボブ・カトレイの神々しい歌唱と、マーク・スタンウェイの気品と潤いに満ちたKeyにより、
ドラマ性も叙情性もしっかり健在と、全く持って隙のない仕上がり。全10曲捨て曲なし。楽曲の平均クオリティに関しては
3rdや5thにも匹敵する程で、個人的には、『ON A STORYTELLER'S NIGHT』よりも気に入っているぐらいだ。
特に、ミステリアスなアコギのイントロに導かれてスタートする、OPナンバーに相応しい劇的さを備えた①、
ボブ・カトレイのタメの効いた歌唱が感動を呼ぶ②から、間髪入れずにハードな③へと繋がり、荒涼としてメランコリックな④、
そして再び、アップテンポでドラマティックな⑤へと展開していく、アルバム前半の隙のない構成は圧巻。
悪名高きJET RECORDSのやっつけ仕事が災いして、セールス的に惨敗。しかもこれを最後にレーベルから契約を打ち切られて
活動休止状態に追い込まれる等、まさに踏んだり蹴ったりな扱いの本作だが、それと質の高さは無関係。
(JETと切れたことも含めて)後の飛躍を予感させるに十分なクオリティを誇る名盤です。

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