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The System Has Failed / MEGADETH
我集院@譲治 ★★ (2007-07-13 15:42:00)

ささくれたギターサウンドが、暴力的に攻めたてる畏怖。
邪悪なエネルギー充填120%で、取り憑かれたように聴く者を切り刻み続ける
悪魔の殺戮兵器“MEGADETH"ここに蘇る。

「TheSystemHasFailed(04')」は、2002年のMEGADETH解散後、
デイヴ=ムステイン(G,Vo)一人の手で作成されたアルバムだ。
演奏には、名うてのセッションミュージシャンを起用。
凄まじい迫力で炸裂するインテレクチュアルスラッシュメタルの奥には、
がらんとした退廃感と達成感が静かに響いている。

・・・メンバーは去り、バンドはもはや存在しない。
守るものが何もなくなったムステインの
「徹底的にやり尽くしてやる」
という捨て身の気迫がそうさせるのだろうか・・・
並ならぬ殺気をありったけ注ぎ込まれ、狂暴化した楽曲群は、
初期MEGADETHの荒れ狂った名盤たちと共鳴する。
MEGADETHのメタルに復活した“乱杭歯の如き凶悪なスピリット"が、
俺の脳裏にも「ムステイン=MEGADETH」という数式を浮き上がらせた。

この「TheSystemHasFailed」は、契約の問題上、MEGADETHの名を“あてがって"
発表されたアルバムだ。
その実体は、
“自分を裏切った仲間たちへの憎しみ"と
“バンドの手綱をさばききれなかった絶望"とを
洗いざらいぶちまけた、孤独なムステインのソロアルバムだった。
執念深い怨念と過度に自虐的な苦悩が錬り込まれた歌詞から、
人間関係のこじれで負った深い深いキズ痕がみえる。
呻きにも嘆きにも聞こえるムステインの歌唱
すべてが、ひどくニガニガしい・・・。

ガマンの限界を越えて吐き出されるムステインの苦しみは
聴き手の感情移入を激しく渇望し、俺は胸の締めつけられる思いがした。
・・・なかには“あまりに一方的なワルグチ"を唄った曲もあり、
引いてしまうこともあった。
しかし“人間デイヴ=ムステイン"が剥き出しにした殺意は、
その弱さも哀しさも加わって、剃刀のような危険性を帯び、なお魅力的に輝く。
憎悪にゆがんだ顔面の奥にふっと垣間見せる、
たまらなくさびしそうな一瞬の眼指し・・・
ビデオクリップ「DieDeadEnough」にうつる彼の瞳は、
壊れやすくも突き刺すような鋭さを秘めた“孤高のカリスマ性"を放っている。

・・・え—、ちとヘンな方向に深入りしちまいましたが(恥)
この「TheSystemHasFailed」で成し遂げられた“ムステインの完全燃焼"に
世界中のファンが奮い立ち、MEGADETH復活を熱烈に歓迎したことは事実。
ムステインをも驚かせたファンの凄まじい熱狂は、
彼の計画するMEGADETH終焉のシナリオを大きく狂わせたまま、
今もなお激しく燃え上がっている。

2005年10月、MEGADETH継続宣言。
形骸と化した死神名義ではなく、
自らMEGADETHのドクロ旗をかざして
進軍することを決意したムステイン大佐。
思うがまま力を発揮するための独裁、という
“システムの成功"を証明した「TheSystemHasFailed」は、
彼の言葉どおり“全世界を恐喝する史上最大の災厄"となった。

・・・誰だ引退とか気弱なコトぬかしとったのわぁ~(笑)
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