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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) 時系列順 1-50
GOATFUNERAL-Luzifer Spricht: 10 Years in the Name of the Goat
DROUGHT-Rudra Bhakti
SOULEMISSION-Tales of Inevitable Death
NÉVOA-Re Un
KING (AUSTRALIA)-Reclaim the Darkness
KING (AUSTRALIA)
DEMONIAC (GERMANY)-Malleus Christianitatis
DEFUNTOS-A Eterna Dança da Morte
TAMERLAN EMPIRE-Isfahan's Fall
GREY AURA-Waerachtighe Beschryvinghe Van Drie Seylagien, Ter Werelt Noyt Soo Vreemt Ghehoort
REBIRTH OF NEFAST-Tabernaculum
WHITE WARD-Futility Report
CANTIQUE LÉPREUX -Cendres Célestes
LIFEBLOOD-Shattered Wishes
MOON (AUSTRALIA)-Render of the Veils
ASTRONOID-Air
NEKRARCHON-Gehinnam
KORGONTHURUS-Vuohen Siunaus
GRAVE DESECRATOR-Dust to Lust
AU CHAMP DES MORTS-Dans la joie
ABYSSIC-A Winter's Tale
DARK HAUNTERS-To Persevere is Diabolical
GRAVES AT SEA-The Curse That Is
WAR INSIDE-S.U.T.U.R.E
KÖRGULL THE EXTERMINATOR-Reborn From the Ashes
BLACK FUCKING CANCER-Black Fucking Cancer
ELDERBLOOD-Messiah
INSANITY OF SLAUGHTER-Be at a Loss
INFERNAL CURSE-Apocalipsis
GREY SKIES FALLEN-The Many Sides of Truth
ABYSSION-Luonnon Harmonia ja Vihreä Liekki
SULPHUR-Omens of Doom
DOMOS-Onset of Gelid Eon
SHADOWTHRONE-Demiurge of Shadow
THE 3RD ATTEMPT-Born in Thorns
GERYON-The Wound and the Bow
NEAR-Our Sun
SVIATIBOR-Le Havre Du Seigneur Céleste
HYPERION (SWEDEN)-Seraphical Euphony
MEFITIC-Woes of Mortal Devotion
BESATT-Hail Lucifer
DEIPHAGO-Into The Eye Of Satan
GHOST BATH-Moonlover
KRATER-Urere
TRIBULATION-The Children of the Night
KETZER-Starless
MURDRYCK-Antologi MMXV
TEMPLE OF GNOSIS-De Secretis Naturae Alchymica
PHAZM-Scornful of Icons
NRCSSST-Schizophrenic Art
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GOATFUNERAL-Luzifer Spricht: 10 Years in the Name of the Goat ★★ (2017-09-18 04:51:15)

2016年発表のコンピレーション盤。
1stアルバムの「Bastion Lucifer」と、各種スプリット音源を収録しており、バンドがこれまでに出した楽曲を網羅できる作品。

幾つかの作品が本国で発禁になっていることでも有名なEISREGENのメンバーが関わっているバンドのようですが…露悪趣味的な部分は確かに共通していますが、様々な音楽的要素を混合し知的な展開も見せるEISREGENに対し、こちらはオールドスクールなブラックメタルを直接に聴かせる音。ただし音に「コシ」「味」があるような点は、EISREGEN譲りとも言えるでしょうか。

EISREGENと比べるとよりダイレクトな俗悪さを表現しており、気合一発みたいな作風ではありますが、プリミティブ勢に通じる野蛮さの中にもどこか知性が感じられてしまうのが特徴でしょうか。聴かせ所をしっかり設けた丁寧な展開だったり
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DROUGHT-Rudra Bhakti ★★ (2017-09-17 12:30:41)

2016年発表のEP。
おそらくバンドとしては初の音源かつ、正体を明かしていないバンドながら、Avangarde Musicからのリリースという快挙。

作品タイトルや曲名からはヒンドゥー教をテーマにしていることが伺えますが、あからさまに中近東系のメロディを取り入れたりなどは殆どなく、深遠なダークアンビエントと、ノイジーなリフの中で蠢くようなバンドサウンドを見せつける、儀式的なムードの漂うブラックメタル。

アルバムタイトルは「干ばつ」の意味ですが、確かにメロディには北欧的な土着性や寒々しさというよりは、乾いた狂気のようなものが感じられる気がします。それが前述したような深遠さと合わさると、プリミティブながらどこかサイケデリックな感触も覚えます。雰囲気的な面では、DEATHSPELL OMEGAの「Drought」アルバムから多少なりとも影響を受けているのかな
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SOULEMISSION-Tales of Inevitable Death ★★★ (2017-08-25 12:53:17)

2016年発表の1st。
「Sea of Emptiness」でSHININGのNiklas Kvarforthがゲスト参加。

…SHININGの彼が参加してる時点で何となく予想はつきますが、トレモロを多用したメロディックな曲作りとは裏腹に、メロディ自体はどこか病的で前衛的な雰囲気のある、鬱要素強めなメロブラ。要所でアトモスフェリックなキーを配し、更に鬱要素を深めていくスタイルで、ヴォーカルも往年のManiac氏のパフォーマンスを髣髴とさせる、粘着質な喚き声で曲に負けじと病気振りを発揮。

ブラストによる疾走を多用し、メタリックなギターソロを入れるなど、メリハリのついた展開などはエクストリームメタル然としていますが…ドラムのやや軽めな音、ノイジーなギターの音色など、プロダクションは若干癖があり、デスメタルなどの持つゴリゴリとした硬質さは志向されていない感じ
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NÉVOA-Re Un ★★★ (2017-08-20 12:09:28)

2016年発表の2nd。

ポルトガル産のアトモスフェリックブラック、2014年結成の比較的新しめのバンド…というくらいの前情報しかなかったんですが、これは相当良い作品ですよ…。近年のDEATHSPELL OMEGAがスピードや暴虐性でなく、ドゥーミーなミディアムと実験性を重視した感じというか、VIRUSが印象深い前衛性そのままに、ブラックユーモア的な部分を排して暗黒方面により深く傾倒した感じというか…その辺りの一流のバンドを比較対象にしたいくらい、記憶に刻む力のある作品。流石名門Avangarde Musicから出てるだけの事はあります…。

ブラックメタルらしい不穏なリフでダークな情景を描いていくのが基本ではありますが、バンドサウンドやSE的な部分のアイデアの豊富さ、音作りの丁寧さが凄く特徴的。リフ捌きを軸としたバンドアンサンブルの前衛性なんかはDEATHSP
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KING (AUSTRALIA)-Reclaim the Darkness ★★★ (2017-08-08 12:34:52)

2016年発表の1st。
結構新しいアルバムなのに、未開封の新品が半額くらいで売ってたのでサルベージしましたが、これがなかなかの力作で素晴らしいです。

カテゴリとしてはメロディック・ブラックになるんでしょうが…ブラックにありがちなマニアックさ・アングラさは殆どなく、まるで正統派メタルのドラマティックさをそのままに、音の分厚さや攻撃性など、エクストリームメタルの激烈さでビルドアップしたかのような作風で、メロデスにも通じる音ですね。一作目にしていつ国内盤がリリースされてもおかしくない、地に足の着いたハイクオリティさ。

ただしハイクオリティだからといって無難な訳ではなく、ヴォーカルにはブラックメタル由来の獰猛さが強く感じられるし、なにより聴かせるべきところではしっかりと聴かせてくれる、叙情的なメロディがかなり良いんですよね。ちょっとヴァイキング風味入っている所
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KING (AUSTRALIA) ★★ (2017-08-08 12:34:06)

オーストラリア産メロディックブラック/デスメタルバンド。
しかし検索で見つけてもらう気皆無なバンド名ですね…(笑)

DEMONIAC (GERMANY)-Malleus Christianitatis ★★ (2017-07-31 11:38:51)

2016年発表の1st。
前身の2バンドを含めると80年代末から活動しているバンドで、90年代半ばにメンバーがメンバーがMOONBLOODを始めるにあたって一度解散したものの、2013年に再結成して出来たのがこの作品なのだとか。

…そんな経歴からも分かる通り、一本筋の通ったプリミティブブラックを展開。一応神秘的なキーボードを被せる場面も一部あるものの、基本はジギジギした音色が耳を劈くリフ、リバーブの掛かった中に殺意を込めてがなるヴォーカル、オールドスクールな疾走…とプリブラの王道を行くような音。アンダーグラウンドの様式を遵守して今に伝える、ある意味では愛想のなさが素晴らしいですね。

良くも悪くもアングラなプリブラの真ん中を突いてくる音ですので、MOONBLOODのネームバリューで注目してしまうくらいのブラック好きには確実に刺さるかと。基本この手が好きな人
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DEFUNTOS-A Eterna Dança da Morte ★★ (2017-07-31 11:34:48)

2016年発表の7th。

ポルトガル産のディプレッシブブラック/ドゥームとのことですが、鬱系のブラックでドゥーム要素を取り入れる場合、フューネラルドゥームの様式を採用することが多いように感じますが、このバンドは躍動感やダイナミズムのある、ミディアムテンポ中心のドゥームメタルを採用。ただしブラックの暗黒性に染まり切ってる音なので、覇気よりは邪悪なものが脈動する様子を感じられるムードが強い。

フィンランドのBARATHRUMなんかとも若干共通するように感じますが、BARATHRUMはまだ音の向こう側のバンドメンバーと「熱」を共有できそうな感じでしたが、こちらはオブスキュアかつ不穏な音作りになっており、より得体の知れなさやそこから生じる不気味さの強い、闇深い音。肉体的なタフさではなく、精神世界的な部分に踏み込んでくる作風…でしょうか。

イントロの雰囲気
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TAMERLAN EMPIRE-Isfahan's Fall ★★ (2017-07-31 11:30:18)

2015年にデジタルで発表されたデモのCD版。
2016年に100枚限定でリリース。

特にシンフォ系やメロディック系にはクサメロ好きに刺さる音を出してるバンドが少なくないですが、このバンドもそんなシンフォニックブラックの一つですね。苛烈なリズムや凶悪なヴォーカルなど、エクストリームメタルとしての攻撃性は備えつつ、トレモロリフやピアノによって奏でられる、ちょっと中近東風味のメロディは味わい深く、かなり印象に残ります。

ただし、ノイジーなリフによって音圧を稼ぐ音像は、若干メジャーバンドと比べるとチープな印象も拭えないかも…。ただ、ドローンめいた音やパーカッションを用いて儀式的な雰囲気を醸し出している部分なんかは、独特のカルトさがあって悪くないです。中近東系のメロディともマッチしてますしね。

ちなみにデモ扱いながら演奏時間は36分と、やや短めのフ
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GREY AURA-Waerachtighe Beschryvinghe Van Drie Seylagien, Ter Werelt Noyt Soo Vreemt Ghehoort ★★ (2017-07-31 11:26:15)

2014年発表の1st。
CD2枚組、変形デジパックに箔押しと装丁がかなり豪華で目を惹きます。

ポスト/アトモスフェリックブラックには都会主義だったり、空想の世界だったり色々な情景を描くバンドが多いですが、このバンドが描くのは雪山のような寒々しい光景で、ある意味ブラックメタルとしては王道なのかも。霜柱を踏み砕くようなノイジーなリフ、体温を下げるようなメロディ使いが直接的に聴き手を極寒の自然に置き去りにしたような感覚を味合わせる作品。

アトモスフェリックブラックって結構聴かせるバランスが難しくて、下手するとミニマルさやノイジーさが仇となって間延びしてしまいがちですが…このバンドは聴かせるべきフレーズも、全体的な展開もしっかりメリハリがついているように思います。ちなみにドイツ語なので何を言ってるのかは不明ですが、会話のSEが入っているので…なんだか遭難ものの
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REBIRTH OF NEFAST-Tabernaculum ★★★ (2017-06-04 18:37:35)

2017年発表の1st。

かつてブラックメタルでは有数のレーベル、End All Lifeから出したSLIDHRとのスプリットが好評を博したバンドが、約9年の時を経てついに1stフルをリリース…しかもレーベルはかのNorma Evangelium Diaboliということで、ブラック好きには大注目となっている一作ですが…これはかなりの力作です。

メタリックな硬質さではなく、視界を闇に閉ざすどす黒い靄を思わせる、禍々しい音圧に包み込まれるようなプロダクションと、不協的なメロディを多用し、不吉さや邪悪さを強く感じさせるリフ捌きにより、ブラックの中でも生え抜きの暗黒性の強い世界観を描き出すブラックメタル。暗黒な響きを伴うギターのレイヤーを重ねた、アンビエント的感性も感じられるパートにも凄みを感じます。

既存のバンドで例えるなら、DEATHSPELL O
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WHITE WARD-Futility Report ★★★ (2017-06-03 10:30:25)

2017年発表の1st。
所謂ポストブラックには悪魔崇拝や自然への回帰だけでなく、アーバン(都会的)な情景を描くバンドも出てきていましたが…ウクライナからその代表格といえる作品を作り上げたバンドが登場したようです。

路線としては、ノイジーな音像や苛烈な疾走、叙情性の高いトレモロリフといったブラックメタルの要素を巧みに使い、情景を描き出すポストブラックで、官能的な響きを帯びたサックスや、聴き手の情景への没我を誘うような打ち込みリズムなども取り入れて進行していくスタイルですが…音像に多大な影響を与えるサックスを、ポストロック的なパートだけでなく、ブラックメタル的なパートにも用いているのが特徴。ブラック要素とポスト要素を厳密に分けず、融合を図っているの(しかも、それが上手く行っている)は個人的に物凄く気に入った点ですね。

また、都会的情景の中に潜む病的さや空虚
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CANTIQUE LÉPREUX -Cendres Célestes ★★★ (2017-06-03 10:27:22)

2016年発表の1st。

…カナダ・ケベック州出身のアトモスフェリック・ブラックで、Eisenwaldからのリリース…ということですが、ある意味国やレーベルの色が良く出ている音なんじゃないかな…と思います。同じアトモスフェリックブラックでも、例えばAvangarde辺りからリリースしてるバンドと比べると、耳を劈くノイジーさだったり、スラッシーで攻撃的なパートがあったり、よりメタルの衝動性やカルトさが強調されている音という感じ。

ただし、展開はドラマティックかつ練られている印象。時折見せる、和風ホラーにも通じるダークな響きと叙情性を帯びたトレモロリフは的確にこの手の音が好きな人のツボを突きに来るし、ともすれば金太郎飴になりがちなこのジャンルとしては上手く楽曲を差別化出来ているように思います。叙情性はあれど、なよなよした甘さは殆ど感じられず、結構辛口な耳当たり。…
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LIFEBLOOD-Shattered Wishes ★★ (2017-05-21 11:17:24)

2015年発表の1st。

SUNGODDESSのメンバーが関与する鬱ブラック/ドゥーム。鬱ブラック然としたトレモロもありつつ、基本的にはミディアム~スローで引き摺るようなノイジーさのリフを中心に展開していくスタイル。何気にベースが音の中心になっていると言っても過言ではないくらいにメロディアスで、粘り気のある音で絡め取られる・引き込まれるような感覚を覚えさせつつ、粛々と進行していきます。

このほぼ全編ミッド~スローの展開が凄く雰囲気出ているんですよね…樹海とか山奥とかに、死を求めて一歩一歩踏み込んでいる感じがしてしまって…。メロディが無愛想だったり、展開がミニマルすぎたりしないのも、死を前にした主人公の人間的な感情が溢れ出しているかのようでグッと来てしまう…。ただ、息漏れの多いグロウルを使うヴォーカルだけはちょっと微妙かも。故意にそう歌ってるようにも聞こえますが
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MOON (AUSTRALIA)-Render of the Veils ★★★ (2017-05-21 11:12:34)

2015年発表の3rd。
同名のバンドがポーランドにもいますが、こちらはオーストラリア産。どちらもそれなりにジャンル内では名の通ったバンドだけにややこしいですよね…(笑)

ポーランド産のMOONは近年エクストリームメタル然とした実体的なヘヴィネスを身に付けてきましたが、こちらは正にカルトを絵に描いたような儀式的な音を出してますね。痛覚すら刺激するようなプリミティブなバンドサウンド、リバーブが掛かり人間性を失った絶叫、そしてそれらを包み込むアトモスフェリックなキーボードが溶け合い、密教的で密室的な音の世界が構築されてます。

この作品、凄く危ういけど面白いバランス感覚の上に成り立ってるように思うんですよね。モノクロのプリミティブさと、サイケデリックな感覚が入り混じっている独特のムードは色彩感覚すら破壊されそうだし、危険で刺々しい雰囲気と宗教的な恍惚感が上手く
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ASTRONOID-Air ★★★ (2017-05-10 13:36:16)

2016年発表の1st。

ポストブラック界隈で好評を得たVATTNET VISKARのメンバーが絡んでいたり、あるサイトでは日本語訳されたインタビューやレビューが掲載されたり、日本でもかなり注目度の高いバンドのようですが…これは面白いですね。ノイズ質を真ん中に据えつつ、トレモロで音像を彩ったり、ごく明瞭なメロディをリフに込めつつ疾走したり、儚く清浄な雰囲気は湛えつつも、それを様々な手法で表現していくスタイルのポストブラック。

ノイジーなリフと叙情トレモロの組み合わせ方など、一部ではプリブラ辺りがヒントになっているのでは…と思わせる部分もありますが、基本的に他のポストブラックと比較してもメタル離れした感性を持っている印象で、特にソフトな響きの声を重ね、スペイシーな雰囲気を演出するヴォーカルパートにそれが顕著。また、前述したようにメロディの明瞭さも特徴で、時には「
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NEKRARCHON-Gehinnam ★★★ (2017-05-10 13:33:07)

2016年発表の1st。

ギリシャ産のプリミティブブラック…との事ですが、基本はRawで地下臭いプロダクションに、禍々しさしか感じられないがなりや、瘴気漂うメロディのトレモロを組み合わせた、如何にもなプリブラという感じで、NGLAやPHLEGEINなどNorthern Heritage産のバンドとも通じる音を出してますね。プリブラとしてごく分かりやすい魅力が詰まった音だと思います。

ただ、所々にアトモスフェリックブラックに通じる、情景描写に重きを置いた感性を感じるパートもあるのが特徴になってますね。音像の歪ませ方を若干弄ることで視界が歪むような薄気味悪さを演出してみせたり、邪悪さとか暗黒だとかをより有機的に聴かせるような工夫が凝らされたパートも多いんですよね。何か得体の知れない、しかし禍々しいものが忍び寄ってくる…そんなムードに満ちた音です。


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KORGONTHURUS-Vuohen Siunaus ★★★ (2017-05-10 13:30:45)

2016年発表の2nd。
デジパックにも歌詞カードにもバンド名が普通のフォントで表記されている箇所が無くて…レビューを書こうとして「バンド名なんだったっけ…?」ってなりました(笑)。結局メタルアーカイブのTOTALSELFHATREDの関連バンドから辿って調べる羽目に…。

メンバーの半数以上がクオリティの高い鬱ブラックを聴かせてくれた、TOTALSELFHATREDのメンバーということで、ほぼ暗黒音楽としての質の高さは約束されたようなものだと思いますが…こちらでも変に奇を衒ったり脇道に反れる事なく、がっつりとミサンスロピックな雰囲気や邪悪さを追求したブラックメタルを演ってますね。

鬱や悲しみなどのマイナス感情が流れ込んでくるトレモロリフ、それを軸に据えたドラマティックな曲展開、抜けの良いドラムが支える薄っぺらくない音作りなど、クオリティの高いメロディック
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GRAVE DESECRATOR-Dust to Lust ★★★ (2017-05-10 13:26:55)

2016年発表の3rd。

ジャケに貼付されたシールで引き合いに出されてるバンドが、「BLASPHEMY」「BESTIAL WARLUST」「ARCHGOAT」等の時点で、ほぼどんな音か想像がついてしまいますよね(笑)。演奏が崩壊していたり極端にプロダクションが劣悪だったりということはなく、普通にエクストリームメタルとしてのクオリティを保った音ですが、ウォー/ベスチャルな感性もがっつり伴ったダーティなブラックメタルを展開。

まるで五寸釘を打ち付けるが如くRawなドラムの音色といい、初期BEHERITの吐き捨てならぬ吐き出し系のヴォーカルを再解釈したようなエグみ溢れるヴォーカルといい、耳に突き刺さってくる音の一つ一つに獣性が感じられるのが素晴らしい。鐘の音色を取り入れて儀式的なムードを醸し出してみせたり、どこか密教的な雰囲気を感じさせるパートがあるのもカルトな感じ
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AU CHAMP DES MORTS-Dans la joie ★★★ (2017-05-08 12:26:11)

2017年発表の1st。
バンド名は「死者たちの場」、アルバム名は「喜びの中」の意(多分)。

ANOREXIA NERVOSAの前進バンド結成時からのメンバー、Stephane氏の新バンドの初フルアルバムという事で、鳴り物入り的な注目を集めている一枚ですが…そういった予備知識のみで聴くと、まず第一音から予想を裏切られますよね。空間の中に揺蕩うような浮遊感ある音から、ノイジーなバンドサウンドへの移行…アノレクとは似ても似つかない、ポスト/アトモスフェリックブラックが展開されています。

ただ、ABIGAIL WILLIAMSの近作もそうなのですが、以前エクストリームメタルをがっつり演っていただけあって、他のポストブラックよりもバンドサウンド寄り(音像がノイズに寄り過ぎてない・展開がミニマル過ぎない)な感じで、メタルとしての分かりやすい聴き所をしっかり残してい
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ABYSSIC-A Winter's Tale ★★★ (2017-05-08 12:20:51)

2016年発表の1st。

OLD MAN'S CHILDやGROMTH、SUSPERIAなど、メロディック/シンフォニックブラック絡みのメンバーによるバンドですが、シンフォブラックばりの大仰さのあるキーボードと、フューネラルドゥームの凌遅的絶望感をミックスさせたような、独自のエクストリームメタルを展開。通常の葬式系のモノクロームな世界観とは若干情景の異なる、色の付いた絶望を見せる音をCDの収録時間限界まで詰め込んだ作品。

基本的に頽廃的・破滅的な美しさのある情景を描くように進行しますが、時折大仰なキーのメロディ、獰猛なグロウル、圧殺リフが渾然一体となって襲い掛かってくるパートの迫力は凄まじいものが…。まるで何か悪しきものの封印が解かれて溢れ出したかのよう。一曲目なんかは、水音のSEと流れるようなストリングスによって、三途の川を思わせる情景を描き出していますが…
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DARK HAUNTERS-To Persevere is Diabolical ★★★ (2017-04-18 00:11:49)

2016年発表の1st。
最初「DARK HUNTERS」だと思っていて、「(ゲームの)ヴァンパイアが元ネタかな?」と
思ってしまいました(笑)。

路線としては、メロデスにも通じるメロディックで高揚感あるリフに、大仰なキーボードで華麗に味付けをしたシンフォニックブラック。ギターワークなどはメロデスと比較してもかなりメロディアスですが、ブラック特有のネガティブでダークな雰囲気もあるのが良いですね。若干音質・音量がDIMMU BORGIRクラスと比較すると一歩譲るものの、ブラックの陰惨さにクラシカルな上品さをプラスした楽曲はかなりハイレベル。

このバンド、メロディの展開によるドラマ性の演出が物凄く上手いんですよね。例えば、インスト明け二曲目の「The Burning Eyes of Vengence」。この曲のブラックメタルらしい邪悪でメロウなトレモロ
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GRAVES AT SEA-The Curse That Is ★★ (2017-04-18 00:08:39)

2016年発表の1st。

音は一言で言えばブラッケンド・スラッジでしょうか。占める割合としてはスラッジ・ドゥームが8、ブラック要素が2くらいでスラッジの方がメインな感じですね。ただ重々しく引き摺るだけでなく、なにか異質な生命が脈打つかの如き動きのあるリフにより、ダイナミックかつグロテスクな音を演出していくスタイル。フューネラル系とはまた違った意味での拷問感ある音です。

メロディの志向としてもメロウさや絶望感よりも、乾いた感触が強く、ヴォーカルの絶叫とも相俟ってヒリついた雰囲気が演出されてますね。また、パートによってはかなりメロウでダークな優美さを感じさせるヴァイオリンがフィーチャーされているのも特徴で…パート自体はそれほど長くないものの、作品の中にあってインパクトを残し、メリハリを付ける展開として機能しているように思います。

ブラックの要素はやや
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WAR INSIDE-S.U.T.U.R.E ★★★ (2017-04-07 23:02:11)

2016年発表の2nd。

フランス産のいわゆるブラッケンド・デスとの事ですが…これはハイクオリティかつ、デス・ブラックの配分が結構ユニークで、魅力的な作品ですね。この手のバンドって、デス要素がブルデスの禍々しさ・強靭さを重視することが多い印象がありますが、このバンドはそれだけでなく、OBITUARY(の疾走部分)やMALEVOLENT CREATIONなど、スラッシーなオールドスクールデスに通じる切れ味も重視している感じがします。

そこにブラックメタルらしいメロウかつ毒のあるトレモロや、どす黒いメロディ使いなどが合わさり、より展開にメリハリが付けられており、聴いていて引き込まれる仕上がりに。ヴォーカルもオールドスクールデスを思わせる吐き捨てながら、どこかブラック的な狂気も感じさせる声で音にピッタリ。ちなみに、音作りも当然のようにメジャー級。クリアかつ暴虐性をし
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KÖRGULL THE EXTERMINATOR-Reborn From the Ashes ★★★ (2017-04-07 22:58:34)

2015年発表の4th。

VOIVODの曲名からバンド名を取ってる事からも分かる通り、スラッシュ要素の強いブルータル/ウォーブラック。プロダクションも低音の聴いた厳つい感触を残しつつもかなり良好で、ブラスト中心のブルータルブラックと比較すると、より「俗悪」な印象。リフはスラッシーな刻みを多用しつつも変化に富んでおり、パートによって地獄のような苛烈さや、軽快さを伴う疾走感で聴かせたり、刻みにインテンスなメロディを練り込んだりなど、展開が一本調子にならないのも良いですね。

ブラックメタルらしいトレモロも時折使いますが…メロディの質的に硫酸で溶かされたよう…とか、悪魔が召喚されるかのよう…とか、悉く邪悪なメロディで正に「慈悲は無い」という感じ。ヴォーカルは結構癖が強く、ハイピッチの吐き捨て系でホイッスル音混じったりロングトーンにo段の音が混じり気味だったり、人間味の
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BLACK FUCKING CANCER-Black Fucking Cancer ★★★ (2017-04-05 13:22:25)

2016年発表の1st。

ショップでもネットでもKATHARSISの名盤3rdを髣髴とさせると評判だった作品。確かに、カオスと血腥さを演出するリフ捌き、整合性と荒々しさを備えた赤黒い音質など、例の作品に対する崇拝すら伝わってくるブラックですね。ただしこちらはヴォーカルが(パフォーマンスは狂気じみてるものの)よりリズムに寄り添っていたり、若干整った音で、カオティックなソロを入れるなどサタニックなデスメタルに通じる雰囲気も感じられます。

この作品の一番の売りは、やはりリフとリズムのアンサンブルでしょうか。前述したようにKATHARSISの「VVorldVVithoutEnd」的な、精神抉るような禍々しいカオスを演出するリフですが、そこにドラムががっつり絡んでくるのが特徴。その結果、何か邪悪な蠢いているような、脈動感ある音作りになっているように思います。…ちなみに、
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ELDERBLOOD-Messiah ★★★ (2017-04-05 13:20:03)

2016年発表の2nd。

元NOKTURNAL MORTUMのメンバーによるシンフォニック・ブラックとの事ですが、メジャー級と言っても差し支えないくらい超クオリティな音出してますね。デスメタル的なヘヴィネスを備えたバンドサウンドは、それのみでも凄まじい存在感ですが、キーボードもなにか邪悪な存在の誕生を祝福しているような、禍々しさと壮麗さを備えたもので、引き算なアレンジなんかクソ喰らえなバランスが素晴らしい…やはりこのジャンルはやり過ぎてナンボだと思います。

音作りも巧みで、それぞれの音の輪郭がはっきりした、分離の良い音だからこそこの迫力があるんでしょうね。音の鳴る位置にもしっかり拘って作られている感じで、全方位から爆撃されて逃げ場がない感じの音。楽曲も良く、悪魔の軍勢が総攻撃するが如き突進パート、嘆き悲しむようなメロウなパート、バンドサウンドの壁により威容を見
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INSANITY OF SLAUGHTER-Be at a Loss ★★★ (2017-03-15 14:41:27)

2016年発表のコンピレーション盤。
2001年のEP「Be at a Loss」に、2002年のライブ音源を追加したもの。

これ、数あるジャパニーズブラックでも傑作の部類じゃないでしょうか。
まず楽曲がとても素晴らしい。プリブラ的な2ビートやスラッシュビートを多用し、オールドスクールな熱気を湛えつつ、邪悪極まりないトレモロリフが全編を通じて横行するスタイル。時折入るリードギターのフレーズも、後期DISSECTIONに通じるような邪悪さを甘美に聴かせるような感じで、メロウになるあまり禍々しさをスポイルすることがないのが良いですね。

ヴォーカルも歌詞を見ずに何を言っているのか聴き取るのが困難なほど歪んだ声で絶叫するタイプで、いざ歌詞を読んでみると「AAAAAAHHHHHH!!!!!!!!!!」とか、やたら「!!!」を多用しているのが目につきます(笑)
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INFERNAL CURSE-Apocalipsis ★★★ (2017-03-15 14:39:14)

2016年発表の2nd。

アルゼンチンのバンドながら日本のレーベル(Obliteration Records)から発売され、ショップでもそれなりにプッシュされていたり、ウォー・ベスチャルブラックのガイド本が発売されこのバンドも取り上げられた事などから、普段ウォーブラックを聴かない人でも手に取った方は多いんじゃないでしょうか。そんな方にもお勧め出来るくらい、分かりやすく、かつ強力にジャンルの魅力を伝えてくれる作品だと思います。

まず音作りが素晴らしいですよね。ノイジーに耳を劈く音は発火寸前の緊張感を漂わせながら、オールドスクールデスに通じる、腹にズンズン響く低音も効いたプロダクションはダーティな冒涜性と、サベージな衝動性をがっつりと伝えてくれます。リバーブが効き、若干言葉が伝わりづらいヴォーカルも異様さをより増していてかっこいい。マニアからしたらちょっと整い過ぎ
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GREY SKIES FALLEN-The Many Sides of Truth ★★ (2017-03-15 14:36:36)

2014年発表の4th。

低音で朗々と歌いつつ、ドゥーミーなリフと美しいキーボードで耽美な雰囲気を演出するゴシックドゥーム的なパートや、デス声ヴォーカルと共にデス/ブラック由来の攻撃性を見せつつ疾走するパートがあったり、様々なメタルのサブジャンル内を横断するような、マージナルな作風の音。

…ただ、多サブジャンルを横断するプログレッシブな音ではありますが、儚さや美しさなどゴシックな叙情美に重きが置かれているようで、過度な前衛性だったり情報量の多さだったりは排除されている印象で、エクストリームメタルとしてはかなり聴きやすい部類ですね。その辺りを整合性があると取るか、逆に物足りないと取るかで評価が変わってきそう。

メロデス期のOPETHやDARK TRANQUILLITY辺りの美意識のあるメロデスが好きな方にお勧めですが、これらバンドと比べるとちょっと
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ABYSSION-Luonnon Harmonia ja Vihreä Liekki ★★ (2017-03-12 20:23:08)

2015年発表の2nd。

販売元のSvart Recordsはドゥームやプログレメタルを始め、前衛・実験系のメタルにも強いレーベルらしいですが、このバンドもプリミティブブラックを基調としながら、一捻り加えたような音を出してますね。基本は荒々しい音質でトレモロを伴いつつ疾走する、プリブラ路線ですが、サンプリングやノイズ、ギターのフレーズなど時折サイケデリックな要素を加えてくるのが特徴。

更にヴォーカルが地声の混じった、やたら野太い怒号で、かつ耳元で叫ばれるようなミックスになっており、母国語の響きとも相俟ってなにか異常性を感じられるのも印象深いポイント。このせいでサイケデリックさが演出するものが、精神世界系というよりは精神にエラーが起きて異常な状態になったような雰囲気になってる印象を受けます。

フルとしては演奏時間はかなり短めですが、独特なプリブラ観
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SULPHUR-Omens of Doom ★★★ (2017-03-09 20:34:38)

2016年発表の3rd。

ブラック/デスメタルとして紹介されている事が多いですが、ここで聴けるのは一般的なブラッケンド・デスとはかなり趣きの異なる音。MAYHEMの「Grand Declaraion of War」、SATYRICONの「Satyricon」アルバムなど、大御所にも明白にブラックを基本としつつ、そこから逸脱している作品は多くありますが、この作品もそれに近い雰囲気を感じますね。ミッドテンポやメロウなギターを重視しつつ、クリアな音質によるキレの良い暴虐パートも配したかなりドラマティックで変化に富んだエクストリームメタル。

アルバム全編で聴ける、メロディアスなギターのフレーズが凄くセンスがあって良いんですよね。サイケデリックな叙情味を感じたり、ハードロックのソロパートのような泣きを感じたり、色々な表情を見せ楽曲を彩ってくれます。メロデス並にメロディア
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DOMOS-Onset of Gelid Eon ★★★ (2017-03-09 20:31:36)

2017年発表の1st。
邦題は「凍てつく永劫の始まり」。

おなじみの国産レーベル、Hidden Marlyからのリリースですが…流石に外れがないですね。コロンビア産のバンドながら北欧産より北欧産っぽい音のプリミティブブラック。ブラックバンド黎明期のDARKTHRONEやISVIND辺りの作品って、メロウなだけでなくそのバンドの哲学を勝手に想像してしまうような、そんな説得力がトレモロに込められていた感じがしますが、このバンドもそれに肉薄するような土着的で邪悪メロウなリフを聴かせてくれます。アトモス系のキーボードやドラマ性の高い展開も導入し、アルバムを通じて変化のある構成なのも良いですね。

ヴォーカルの耳元で叫ぶような絶叫や、粗めながらブラックのリフの良さを伝えるヤスリ的音作りなど、プリミティブブラックとしては隙が無い音で、良質な作品と断言は出来るんですが
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SHADOWTHRONE-Demiurge of Shadow ★★★ (2017-03-08 01:15:34)

2017年発表の1st。
Hidden Marlyより日本盤が出ており、邦題は「影のデミウルゴス」。

一体このレーベルはどこからこんな良質なバンドを発見してくるのか…これまたかなり好みのシンフォニック/メロディック・ブラックで買って本当に良かったと思わせる作品。メロブラとしてはオールドスクールさが強く、背徳性を感じさせつつも適度にメロディを挿入しメリハリのあるリフ捌きと、神秘性の強いアトモスフェリックなキーボードが織りなす非常にドラマティックな音。若干ドラムがやかましい音作りな気もしますが、荒れ狂う海を思わせる音に感じられるので個人的には好きですね。

オールドスクールさ強めのバンドサウンド+神秘的なキーボードの組み合わせや、喉を潰すのも厭わないような衝動に満ちた絶叫など、EMPERORの伝説的な1stアルバムを想起させる場面も多い作品。場面によっては、は
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THE 3RD ATTEMPT-Born in Thorns ★★★ (2017-03-07 11:56:02)

2015年発表の1st。
表記によってTHEがあったりなかったり…ジャケのロゴにはTHEがありますが、CDケース側面の方には表記されてないのでショップで探す際は注意。

元EMPERORでGREEN CARNATIONを立ち上げ、CARPATHIAN FORESTなどにも参加していたTchort氏を始め、北欧産ブラックのそれなりに有名所が集まったバンドの初フルアルバムという鳴り物入りの作品。作風自体は、スラッシュの要素の強いブラックで、CARPATHIAN FORESTやAURA NOIRを想起させる感じですね。ブラックの方が主体になってる感じ、前者により近いように思えます。

出だしがかなりパンキッシュなのでイメージを引っ張られますが、北欧産らしい土着的な禍々しさを伴う疾走があったり、キーボードも用いた儀式的な曲があったり、楽曲のバリエーションは意外に豊富
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GERYON-The Wound and the Bow ★★ (2017-03-07 11:49:37)

2016年発表の2nd。

KRALLICEのメンバーによるテクニカルデス…という事で興味を持ったんですが、最近のKRALLICEもテクニカル・アヴァンギャルド志向を強めているとはいえ、予想以上にアヴァンギャルドな路線で少々戸惑ってしまった作品。

ベースとドラムによる複雑怪奇、かつエクストリームな絡みの上に、ハードコアテイストのある絶叫が乗る…というスタイルですが、まるでベースとドラムのアンサンブルでどこまで行けるのか、その閾値を探っているかのような実験性がある…。楽曲やサウンドスケープよりも、その時の楽器隊の絡みに音を聴く楽しみを見出す感じで、トレモロリフによる高い叙情性も評価されていたKRALLICEとは全く別物。そもそも編成がギターレスですしね。

…という訳で近年のKRALLICE以上に好みが分かれそうな作風。知性や演奏力、クオリティなどは間
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NEAR-Our Sun ★★ (2017-01-18 23:21:36)

2016年発表の2nd。

ショップではGORGOROTHなどのノルウェー謹製のブラックメタルが引き合いに出されていましたが、その通り邪悪なトレモロリフと苛烈なブラストビート、ヘヴィネスよりもRawさを重視するプロダクション、ほぼノイズと化した裏返り気味の絶叫…と、衒いのないブラックメタルのスタイルですね。この手を普段から聴いている方ならすぐにでもアルバムの音に没頭できる感じ。

このバンド、何気に神秘性や邪悪さなどの演出が巧みなんですよね。主張しすぎない程度にキーボードも用いてますが、これが幽玄でアトモスフェリックな音色で雰囲気が出ててグッド。薄めのバンドサウンドのプロダクションとも相俟って、ちょっとだけBURZUMなんかも思い起こさせたり…。トレモロも時折神経を掻き毟る系の不協メロディを入れてきて、邪悪さの演出にかなり貢献している印象。

個人的な
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SVIATIBOR-Le Havre Du Seigneur Céleste (2017-01-08 08:29:19)

2016年発表の6th。
2014年に初のフルを出したばかりなので、かなりハイペースな活動ですね。

…GRAVELANDはプリミティブ路線から脱却し、シンセサイザーとバンドサウンドを組み合わせることで、独自の壮大なアンビエンスを感じさせるペイガンブラックを構築していましたが…それを更にマニアックにしたようなペイガン・アンビエントブラックですね。

とにかく音の作り方が独特なのが特徴。最早バンドサウンドをほぼ感じられなくなるほどに、シンセサイザーが前面に押し出されていて…しかもまるでPS1期のビデオゲームのような、デジタルであることを隠そうともしないような音色なんですよね。その音が包むリズムも打ち込みめいた音ですし、なにかサウンドトラックを聴いているような聴き心地。「意図されたチープな音色」には独特の美しさが宿っているように思います。

ただ、サ
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HYPERION (SWEDEN)-Seraphical Euphony ★★★ (2017-01-06 23:38:36)

2016年発表の1st。

各所でも話題・高評価を得ているメロディックブラックの新星。私は運良く現物(CD-R)でゲット出来ました。一言でいえば全編にメロウなメロディを配したメロディックブラックなんですが、このメロディへの指向性の高さはとてもそんなものでは…。最早比較対象が最初期のIN FLAMESとか、メロデスの一流どころと比べてもメロディの良質さ・含有量ともに劣らないと思います。

そこにサタニックで邪悪なトレモロや、破れかぶれな畳みかけなどブラックらしさも垣間見せてくるセンスが素晴らしい。WATAINやDMDS期のMAYHEMなど、比較的メロディアスな「真性」ブラックの「美と邪悪さ」の対比が3:7くらいだとしたら、このバンドはその比率が逆転している感じ。つまり、中世的なメロディで美しさに主眼を置きつつも、しっかり邪悪さへの指向もある…という感じです。

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MEFITIC-Woes of Mortal Devotion ★★★ (2017-01-06 23:35:44)

2015年発表の1st。

これは圧倒的…。
ノイジーながら視界をどす黒く染め抜くような質量感もあるリフと、リバーブを掛けつつ低音で厳かに獣声を吐きだしていくヴォーカルなどが醸し出す音像は、ウォーブラックに近いカオティックな野蛮さ。最早纏う暗黒エネルギーの量が飽和状態で、音からジクジクと漏れ出しているような状態。

ただし演奏が崩壊するような危うさは全くなく、儀式的なスローと暴力的なファストの使い分け、それを支える演奏力などはむしろ構築性の高さや知性を強く感じさせます。野蛮さと知性を掛け合わせて、これ以上は濃くなりえないような濃度の「黒」を演出しているような感じですね。聴いてしまったが最後、魔に魅入られ戻れなくなってしまう…そんなヤバさ漂う音。

…はっきり言ってマジで素晴らしいです。どす黒い音が好きであればスルー厳禁。

BESATT-Hail Lucifer ★★★ (2017-01-03 11:26:55)

2000年発表の2nd。

ポーランドのブラックではかなり評価が高い(一部は日本盤も発売されている)ようですが、それも頷けるくらい「ツボを突いた」作品だと思います。作風自体は邪悪なトレモロや苛烈なブラストを織り交ぜつつ、緩急付けて聴かせる、ブラックメタルの王道という感じですが、音作りが凄く「分かってらっしゃる」という感じがします。

ノイズ質を多く含むギターリフは冒涜的な感覚を、丸めのドラムの音色はモダンさではなく生々しさを、音圧の中で鳴るガリガリしたベース音は獣性を感じさせて、それが一体になるとブラックでしかなしえない邪悪なムードが演出されてるように思います。ノルウェー勢だとTAAKE辺りと近い感覚でしょうか。また初期EMPERORを髣髴とさせる、喉に過剰な負担が掛かりそうな破れかぶれなヴォーカルも素晴らしいです。


…まだ現役バリバリで活動
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DEIPHAGO-Into The Eye Of Satan ★★★ (2016-12-28 11:21:08)

2015年発表の3rd。

ウォー/ベスチャルブラックメタルのガイド本でもかなり大きく取り上げられていて、気になっていたので購入しましたが、これはいいですね。ほぼノイズの塊と化したようなギターリフに、「暴虐」なんて言葉ではなく、「タコ殴り」とか「ド突き回すような」とか野蛮な表現で形容したくなる残虐なリズム、理性がぶっ飛んでそうな必死極まりない絶叫が渾然一体となり、聴き手を蹂躙するような凄まじい音。

彼等が通った後には草一本残らないくらいの破壊的な音なんですが、ドラムとの絡みやカオティックなソロなどアンサンブルが分からないでもないギターや、ノイジーな轟音に埋もれることなく獣性を伝えるドラムなど、ウォー/ベスチャルや崩壊系のブラックを普段から愛聴してる人以外でも楽しめるような、ギリギリの所で整合性というかバランスが取れているような気もします。

とにかく
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GHOST BATH-Moonlover ★★ (2016-12-28 11:13:59)

2015年発表の2nd。
なんと翌年にはNuclear Blastから再発されてますね。
私が購入したのもそっちの盤です。

…月の被り物をした状態で緊縛された女性のジャケが物凄く目を引きますが、これって自前で撮影してるんでしょうか…。ともかくこんなジャケを載せるバンドは変態的でアヴァンギャルドなひねくれブラックをやっているに違いない!と勝手に決めつけていましたが、意外なことに悲痛なエモーション前回のポスト/シューゲイザーブラックで逆に驚きました。

ポストロック的な柔和なパートもありますが、基本的には耳を聾するような苛烈なノイジーさの中で、儚さや哀切な雰囲気を強烈に放つトレモロリフと、BURZUMなどを思わせる肺の底から絞り出すような絶叫を聴かせる、壮絶な音。ほんと、ジャケを見せられた段階ではここまでストレートに感情を表現してくる音だとは思いませんで
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KRATER-Urere ★★★ (2016-12-27 12:44:05)

2016年発表の3rd。

これは凄まじいですね。
スタイルとしては、明度と温度を著しく下げるような、吹雪系トレモロリフと暴虐なブラストビートで畳みかけつつ、邪悪なミッドパートも織り交ぜていく、ブラックメタルとしては特に衒いのない、ノルウェー勢に通じるようなストレートなスタイルではあるんですが…。

とにかく音作りが強烈。トレモロのメロディを強調しつつノイジーに耳を聾するリフの中、ヴォーカルやドラムの音も強靭に響いていて…それらが渾然一体となって襲ってくる音塊の問答無用の殲滅力が凄まじい。アトモスフェリックブラックの寒々しいムードを、ファストブラック並みの攻撃性で力づくで演出しているような、そんな印象を受けました。

これはもう試聴してすぐに購入を決めましたね…ブラック好きでまだ聴いていない方は、取り敢えず試聴だけでもして欲しいところ。ホント求心
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TRIBULATION-The Children of the Night ★★ (2016-12-27 12:41:57)

2015年発表の3rd。

以前はもっとデス/ブラック色がストレートに出ていた音だったらしいですが、今作はロック色強いノリのいいミディアムを中心に、哀感の籠ったギターのフレーズやプログレ風味のキーボードを乗せ、非常に丁寧に楽曲を構築していくスタイルになってますね。ロックとしての楽曲の良さは、(好みは別として)エクストリームメタル・ブラックメタルどうこうの範疇を超えた普遍性があるように思います。

ヴォーカルはブラックメタルのがなりを貫いていたり、ゴシックメタルにも通じる妖しさがあったり、しっかり「ダークな音楽」としての筋は通しているバランスがまたいい感じなんですよね。近年のENSLAVEDやIN VAIN、EISREGENやメロデス期のOPETHに通じるような、知性的だけどダークな部分も色濃い音だと思います。

確かに、話題になるのも頷けるクオリティの
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KETZER-Starless ★★ (2016-12-26 07:31:23)

2016年発表の3rd。

Metal Bladeからの発売、Terrorizer誌にもレビューが掲載されるなど、結構プッシュされてる印象。販促シールではBEHEMOTHが引き合いに出されてたりするので、ブルータル路線のバンド化と思いきや、意外にもロック寄りのミッドテンポ中心のグルーヴィなリズム、情感の籠ったリードギターで聴かせる音で、冒頭からハンドクラップ入れたくなるようなキャッチネスがありますね。

販促シールではTRIBULATIONも引き合いに出されてましたが、どちらかと言うとこっちの路線に近い音ですね。ただし、ただキャッチーなだけではない、どこかひねくれた知性を感じさせる展開も見せ、同郷のEISREGENなんかも連想します。ヴォーカルがメロディを歌う時ですらかなり歪ませた声なので、ブラックらしい殺伐感はしっかり残ってるのも嬉しいところ。


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MURDRYCK-Antologi MMXV ★★★ (2016-12-24 15:25:51)

2016年発表の2nd。

このバンド、元はダークアンビエントを演っていたらしいですが、近年になってバンドサウンドのブラックメタルに移行したんだとか。その経緯からも想像される通り、アトモスフェリックブラックとメロディックブラックを折衷させたようなスタイルになってますね。

楽曲の展開やムードの演出などはアトモス系の様式をある程度踏襲している感がありますが、メロディの質だったりバンドのアンサンブルだったりはメロブラのそれ。北欧の土着的なメロディを練り込んだトレモロもフェチ的に楽しめつつ、時にベースが主導権を握るなどバンドらしい音作りで、攻撃性も十分なため、ポスト・アトモスフェリックブラックにありがちな「ブラックメタルを聴いてる感の薄さ」が少ないバランスが個人的にはかなりツボですね。

そういう訳で、ポスト・アトモスフェリック系の風景の演出と、メロブラらし
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TEMPLE OF GNOSIS-De Secretis Naturae Alchymica ★★ (2016-12-24 15:22:37)

2016年発表の1st。

如何にもスピリチュアルな世界観を描いていそうなバンド名、ラテン語のアルバムタイトル、そして有名レーベルATFMからの発売という事で気になっていた作品。実際に聴いてみると、確かにこれは期待や予想を裏切らない音ですね。スローテンポの中、スラッジ・ドゥーム的なノイジーに引き摺るリフの上、宗教的なキーボードや魔的なトレモロなどが重なり、どす黒い世界観を描いていくスタイル。

黒く精神に染み込んでいくような出音はこの手の音としてもかなりディープな雰囲気で、目を閉じて聴くと世界観に引き込まれそうになりますね。ただ、どうも展開にSE的なものを感じる部分が多くて…ブラックらしいトレモロが鳴っているときの魔性な空気感などはたまらないものがありますが、個人的にはもう少し展開があると良かったですね…。正直展開に関しては物足りなさあるかも。

狙っ
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PHAZM-Scornful of Icons ★★★ (2016-10-10 12:27:04)

2016年発表の4th。

このバンドはどうやらドゥーム/デスからロックンロール要素のあるデスメタルへ移行した…と認識されているようですが、今の所最新作となるこの作品を聴く限りではブラックメタルの要素もかなり強いですね。スカンジナビアのブラックメタルを思わせる、寒々しく邪悪なトレモロを聴かせる場面も多いですし、どちらかというと力強くヘヴィなブラックをメインに、デスロールの要素が入っている感じ。

ただしブルータルブラック勢のスピードで暴虐さを演出する音楽性とは若干異なり、この作品は「ロール」のグルーヴ感があることで「殲滅力」が非常に強い音という印象。メジャーレーベル産らしいガッツリとしたヘヴィな音や、ハードコア的な野蛮さを感じさせる咆哮、人間性を失ったような高音絶叫、Attila Csihar系の呪詛声のどれもキレ良く聴かせる優れたヴォーカルなども相俟って、敵の息
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NRCSSST-Schizophrenic Art ★★★ (2016-09-11 11:07:51)

2015年発表の1st。

SVARTTHRONやPERGALEなど、精神的なヤバさを感じさせるリトアニア出身(現在はドイツに籍を置いている)というプロフィール、「精神分裂症のアート」というアルバムタイトルから、何やら病的で難解な作風を想像してしまいますが…実はシューゲイザー寄りのブラックとしては真っ当過ぎるくらいに真っ当な作品で逆に驚きました。このサブジャンルを初めて聴くにも適してると言えるくらいに分かりやすい音。

儚くて感情に訴えかけてくるトレモロリフとノイジーに歪んだ音像、鬱感情を加速させる絶叫の組み合わせはこの手の王道とも言える音ですが、描いている情景が抽象的な割に、メロディやフレーズなどをはっきり聴かせる作風なんですよね。清浄な中に、時折メランコリックで病的さも垣間見せるメロディ、ブラスト一辺倒でなく、ロック調のタイトなリズムも用いる展開など、語弊を恐
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