エレファンテ兄弟自らが主宰するPAKADEM RECORDSから'90年に発表された2ndアルバム。 複数のリード・シンガーの起用や、豪華なセッション・ミュージシャンの参加を仰いでいる点等は前作と同様ながら、今回は、アルバムの方向性が絞り切れていない印象もあったデビュー作の反省を生かして、Keyのフィーチュア度を高め、より優美なメロハー路線を徹底。併せて、楽曲を彩るメロディの哀愁やフック、それにハーモニーの強化も図られており、個人的にはキラキラのKeyを纏って軽やかに疾駆するOPナンバー“HOLIEST ONE”が始まった途端、「はいはい、俺の負け俺の負け」と両手を挙げて降参したくなりました。 ジョン・エレファンテ在籍時代のKANSASを思わせるプログレ・ハード調のアレンジや曲展開が端々で顔を覗かせているのも本作の特色で、ことにインスト“STAMPIDE”から次曲“LIVING FOR YOU”へと繋がっていく流れは、ドラマティックでありながら、仰々しさよりも華麗さ、親しみ易さといった要素が勝っている辺りが正しくKANSAS。 他にも、コマーシャルに疾走するハードポップ“WHEN ALL COMES DOWN”から、強い哀愁を発散してエンディングを締め括るバラード“IT IS DONE”まで優れた楽曲がズラリ取り揃えられ、MASTEDONの代表作としての評価も確立している(METALLION誌のメロディアスHR特集号にも選出されていました)本作ですが、現状、彼らのカタログの中では最も入手困難な作品というのが残念至極。