このアルバムを初めて聴いた時には「なんじゃ、こりゃ!?」とも思ったりしたものですが… しかし聴きこんでくると、気付かなかった良さに気がついてくる。 「お、こいつぅ、こんな隠し球を持っていたなんて」て気分。 OPERATION:MINDCRIMEやEMPIRE以上に複雑に絡み合って深みを増した楽曲は、明らかにそれらとは別格の存在。OPERATION;MINDCRIMEやEMPIREでの一回聴いただけで「これは凄いよ!」と言えるような曲(EYES OF STRANGERやBEST I CAN)とは違うけれども、「こんなに味のある曲があったなんて!」みたいな喜びを味わえること間違いなし。 自分としては、DAMAGED、BRIDGE、SOMEONE ELSE?、OUT OF MIND、LADY JANEの順でベスト5かな。
多くの方が認める通り、これは聴き応えのあるアルバムです。何度も聴いてしまう。しかし飽きない。本当に飽きない。頭に染み入るような曲、歌がひたすら並ぶ。QUEENSRYCHEファンには一番面白いアルバムでしょう。 ただ他のバンドもひっくるめてQUEENSRYCHEを眺めてみた時に、これがベストだとするとQUEENSRYCHEは寂しい。やっぱり「OPERATION:MINDCRIME」を先に聴いて欲しい。 その後に「Promised Land」へどうぞ。どの曲も好きですが、I Am I、Damaged、Dis Con Nec Ted、Someone Else?などがお気に入り。ボーナスのReal Worldもいいですね~。
かくいう私も、先に「Rage for Order」「Operation〰」に聴きなじみ、Rycheの音楽にはもう慣れたぞと密かに自負していたにもかかわらず、あえなく撃沈。これを理解するのに数年余りの「感性の熟成期間」を経なければなりませんでした。途中で一度売ってしまい、思い直してまた買いなおした(やけにたくさん中古屋にあり、しかも安かったのが幸い)アルバムでもあります。とりあえず買ってから聴いて楽しめるようになるまで、最も長くかかったCDだと思います。
スタイル的にはデジタルな感覚が優勢だった以前と違い、アコースティックな要素が表に出てきていてます。しかし、これは叙情を歌い上げるというよりは、フォーク・シンガー的(ボブ・ディランとかスザンヌ・ヴェガ)な現実の批判的描写や個人感情の訴えというアプローチで用いられているようです。 実際、今作での彼らは、個人の内面から対人関係、社会関係における、どうにもならない「人間の悲哀」とか「人生の無常」(特にBridgeとOut Of Mindの歌詞は悲惨)をひたすら歌っているように聴こえます。そして個人の抱える様々な問題が、結果的に現代社会の歪みと病いの縮図としてリンクしてくる、というドキュメンタリー的な手法の冴えが光っています。 よってリスナーはこれをパーソナルで哲学的・実存的なテーマの作品として聴けるし、また極めて社会的な問題意識をもった作品ととらえることも可能です。もちろん何も考えずにただなんだか深そうな音楽だなあ、と聴くのもアリ。テーマの解釈&掘り下げ具合をもっぱら聴き手側の意識に委ねているという意味で、なかなか奥ゆかしい作品といえるでしょう。
ヘヴィ・メタルを聴き始めた頃に触れた、前々作である4th「OPERATION: MINDCRIME」は良さが分かるまで時間が掛かったのだが、これは一発だった。音質、音像、雰囲気を通して、アーティストを私の人格が共鳴しているのではないかとすら思える数少ないアルバム。音楽的な関連性は全くありませんけど、THE 3RD AND THE MORTALの「IN THIS ROOM」と同じ括りに入ってます。細かい部分はどうでもよくて、この異形の世界観が存在してくれているだけで嬉しい、とかそういう感じ。 楽曲だけ見ても素晴らしいですが、やっぱり不気味とも言える音像というか、歌い上げるだけでないシアトリカルなボーカルの表現力や、全編に張り巡らされた不穏かつ混沌としたSE・効果音・デジタル処理の作りこみ、それら全て含めた雰囲気が限りなく曇っていて最高に格好良い。そしてまたその表現・発想の幅がとっても多様です。聴いていて本当に楽しい。⑤「BRIDGE」⑧「LADY JANE」⑪「SOMEONE ELSE?」のようなバラードぽい、穏やかな絶望感も落ち着いて浸れます。