オープニングの“ Lethal Heroes”は、彼らがこれまでに書いた中で傑作の1つ、ゾクゾクとさせるリフと艶のあるヴォーカルが乗った素晴らしく壮大なメタルソングで堂々としたスタートを切る。その流れを壊さぬようにハードロッキンな「Don't Settle for Less」と「Rock the House」と続きワクワクとさせられます。ロジャーの持ち込んだディープパープルのような威厳。そしてストレートなロックサウンドと深淵なるメタルサウンドへと侵攻、そのどちらも感じさせる頭3曲の流れに、このバンドが新たなるフィールドへ進んだと確信しました。
素晴らしいムードを持ったメロウなバラード「Savage Heart」それから、強力なフックを持つ「Young Blood」とメロディアスな「Headlines」、甘い北欧風だがメタリックなアレンジも効果的に持ち込まれ完成度の高さに唸らされます。タイトルトラックの弱さはいかんともしがたいが、「Partners In Crime」は素晴らしいハーモニーとコーラスで横腹をキック。脇見して落胆してんじゃないぞとカツを入れてきました。アルバムのリスタートと言える名曲の登場に安堵。パワーメタル時代を彷彿とさせる「Attention」は想像力の高い曲が続いただけに単調に聞こえるが、ストレートな曲の登場は悪いアイデアではない。
PRETTY MAIDSはこのアルバム「Jump The Gun」を制作したことによりバンドの新たなるレガシーを刻みに行きました。それはなんら非難されるものではないし、ロジャーのオーバープロデュース論は少し本質的な部分とはそれていますが、冒頭でも触れたように和が好きなのか洋の音楽に親しんでいるかが問われている。又、分かりやすいスピード論など論外。伊藤政則のライナーなど議論の余地もない。