当時驚異的な「のど」を披露していたディビッド・ウェイン氏、絶妙なリフメイキングを見せるカート・ヴァンダーフーフ氏、両者の個性と緊張感が、ナイフの刃先を思わせる切れ味とケミストリを生み出している1枚と思います。プロデューサー、マーク・ドッドソン氏の、Dsの切れ味を強調した絶妙な音づくりも、この緊張感を高めるのに大きく寄与していると思われます。 'Ton Of Bricks'、 'Start The Fire'、と言ったPower Metal Tune、'Watch The Children Pray'、'Burial At Sea'といったバラッド調Tune、'Psyco'のスピードTune、そして持ち味を凝縮した'Method To Your Madness'...。アルバム全体の緩急、それぞれに持ち味を持った曲、1986年リリース当時は、この1枚にはまりっぱなしでした。 この遺伝子は、現在僕の知る限りでは、FORTE、IMAGIKA、SQUEALERに引き継がれているように思えます。現在は輸入盤で、比較的低価格で手に入れられると思います。古き良きPower Metalを、機会が有ればどうぞ...
1stでやや物足りなかった部分が充填され、一つのスタイルの完成を見せた名作中の名作。ヴァンダーフーフの真骨頂とも言える、温かみのある叙情性が最前に押し出され、剛直で終わらない豊かなサウンドに仕上がっていると思う。"Method To Your Madness"などは、その醍醐味がつまった正に名曲だろう。実力面ではマイク・ハウに一歩譲るイメージの強かったデヴィドのヴォーカルも、今聴くとその熱唱ぶりに心打たれる。3rd以降のこのバンドを否定するわけではないのだが、それでもこの名作の核を成していたのは、やはりこの2人だったんだなと思わずに入られない。それにしてもDavid...安らかに。