2nd『SIGN IN THE SKY』(’89年)のヨーロッパ市場における成功を足掛かりに、アメリカ攻略を目指したCHINAが、シンガーをパトリック・メイソンからエリック・ST・ミカエルズにチェンジ後、EP『狂熱のライブ・イン・ヨーロッパ』のリリースを間に挟んで'91年に発表した3rdアルバム。 前任者と声質が非常に似通っているのでシンガーの交代劇は何ら瑕になっていませんが、それよりも音楽性の変化に対する驚きの方が大きかった本作。これまでの寒色系から一転、暖色系の色使いでまとめられたアートワークのイメージが分かり易く物語る通り、HR的なエッジや、メロディからは欧州風味の哀愁や湿り気が後退し、カラッと明るくポップな曲調でアルバム全体がふんわりとまとめられています。 コーラスは相変わらずキャッチーですし、美しいバラード等、随所で魅力的なメロディも顔を覗かせてくれてはいるものの、本編はミドル・テンポの楽曲が大半占め、しかも全15曲、60分弱という長大な収録時間。これじゃいくら何でもメリハリに乏しく胃にもたれますよ。アルバムに起伏を作るためにも、OPを軽快に疾走する爽やかな①や、本編中最もHR然とした仕上がりの⑬みたいな秀曲が、中盤にもあと1、2曲は欲しかったかなぁと。この収録曲の多さといい、音楽性といい、どことなくドイツのBONFIREが'88年に発表した『POINT BLANK』のことを思い出す1枚だったりします。 決して完成度は低くありませんでしたが、グランジ旋風に席巻されつつあったアメリカでは殆ど話題に上らず撃沈。バンドはこれ以降大きく迷走する羽目に…。