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FLY AWAY (2002年)
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FLY AWAY
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解説 - FLY AWAY
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1. 失恋船長 ★★★ (2019-07-01 16:12:27)

ミノタウロスと言えば頭が牛になっているギリシャ神話に登場するキャラクターだ。そのキャラを前面に出したアートワーク。淡い情景が幽玄的なイメージを増幅。思わず手に取ってしまったのが最初の出会い。オリジナルは1978年に自主製作でリリースされたドイツのプログレバンドによる唯一の作品。
自主製作と言う背景をものともしない完成度の高さに舌を巻きますが、ムーグ・メロトロン・ハモンドとあらゆる鍵盤楽器を駆使するキーボードプレイヤーの妙味、時には電子音的な要素も強まるのだが、これが実はドイツのプログレバンドの定石だったというのだから驚く。英米に対抗する形で発展したジャーマンロック。彼らの事はKrautrockと差別的な意味も込めてジャンル分けされるのだが、後に余りも完成度の高い音をクリエイトするバンドが多く表れる事で、逆に敬意を込めて分類分けされる総称となったと言うのだから二度驚きである。そんな草分け的な立ち位置にいるバンドのデビュー作。
浮遊感のあるオーガニックなメロディは時に、甘く切ないフレーズを讃え、難解なプログレ臭よりも素直に耳に届く鮮烈なメロディを奏でている。その為にジャズやフュージョンにも通ずるアンサンブルの合間を煌びやかに飾り、より一層の洗練度とドラマ性を増幅、そこに多彩なギターワークが儚くも美しいサウンドに磨きを掛けるのだから、普段聴かないジャンルでも、のめり込ませるだけの魅力が存在する。
ミノタウロスと言うキャラの神話性を軸に、プログレの持つ宇宙的な神秘とロックな衝動が巧みに折り重なり高次元で昇華。音楽的な教養と各メンバーが併せ持つ技術をぶつけ合う事で生まれた形が見事に表現されている。だからこそ、想像的な世界観を有するロックへと上り詰める事が出来たのであろう。
変化自在の彩りを与える演者のプレイ、儚くも美しい世界観を壊さないソフトな歌声も情景描写豊かに聴こえる。ハードな耳を持つマニアにとっては、大人しいサウンドに映るだろうが、プログレ的なアプローチは微妙な音程変化やコード進行などでもたっぷり味わえるし、定型のロックでは味わえない醍醐味がここにはある。プログレは語れるほど詳しくないので、誰かのパクリをやっていても全く気がつかないのだが、神秘的なスケール感とキャッチーなフレージングは親しみやすさをもっている。



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