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Gallows Gallery / SIGH
失恋船長 ★★★ (2022-09-23 17:30:19)
初めて聴いた時の衝撃は今なお計り知れないモノとして心に刻まれています。事前の情報ではブラックメタル、アバンギャルドというキーワードが頭にインプットされていたのですが、完全に裏切られました。いい意味での裏切り、その無意識のうちにカテゴライズしたくなる音楽性という概念をぶっ壊したホンモノの音楽を前に、どのような表現を用いるべきか躊躇します。それほど、高尚であり一筋縄でではいかない知性豊かな音楽にこちらの教養が追いつきません。とにかく脱帽です。
まず、この音の聴いてジャパンをイメージする人は皆無でしょう、コンセプト色の強い作風ですが、英詩を訳せる分けではないのでなんとも言えません、ですが、あえて配置される同じようなメロディライン、それを主軸に仕掛けてくるのだが、とにかく、このアイデアがえげつない。親しみやすいメロディだが、神秘性を司るシンフォニックな音色、そして冷ややかな感触を与えるイーブルタッチなメロディと音像、その氷河の奥底で眠りについたデーモン族が眠る地底の如き、神秘的なスタンスが、眩い光を放ち幾重にも色鮮やかな音色を鮮烈に奏でていきます。
ワタクシのような語弊力のない人間では語ることなど出来ません。このバンドのコメントは避けているのですが、久しぶりに聴き改めて打ちのめされました。
あえてなのか、このチープな音像、脆弱なミックスさえも狙ったのではと思わせる、オカルト神秘主義メタルに飛鳥涼の如く洗脳されそうです。一番近い音楽性では、キング・ダイアモンドあたりを想起するのですが、このバンドの奥深さは、そんな比較論などどうでもよいのです。本来はデスヴォイスで唸りを上げるシンガーも、驚くほどクリーントーンを操り裏切ってきました。
この裏切りの連続に思考も停止、そして催眠から目が覚めたときに知らされる現実、不動明こと勇者アモンと対峙する堕天使ルシファーとなった気分です。
この音楽は、歌詞が分かると凄い気がする。まさか、女のケツを追いかける内容じゃないでしょう。つまらん政治批判でもなさそうだ。それだけに、深いところは追求しませんが、ムーグや管楽器を操り深層心理に訴えかける万物流転なサウンドに洗脳されました。
直訳するなら『絞首台ギャラリー』と読めるアルバムタイトル。このバンドは、どんなメッセージを込め、このドラマを展開したのか興味は尽きませんね。

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