1986年5月27日にColumbia Recordsよりリリースされた8thアルバム。
黄金期と言われた時代の最後のアルバムであり、本作をもってバンドは解散することになる。
この当時のJourneyは『Escape』(1981年)、『Frontiers』(1983年)と立て続けにメガヒットを記録しており、アメリカを代表するトップバンドにまで成長していた。そのため、バンドの内外を取り巻く状況も大きく変わっていた。音楽のコマーシャル化や商業的なライヴ・ツアーなどに対するメンバーの反発も多く、バンドには様々な問題が生じていた。1984年にはSteve PerryがドラマーのSteve Smithをクビにしたといううわさが流れ(当時ロック評論家の伊藤政則は「Steve Smithは巧すぎてJourneyをクビになった」と発言した。)後にSteve SmithとベースのRoss Valory(オリジナル・メンバーであった)の2人は「ツアーには参加するがスタジオには入らない」という噂が非公式に広まった。実際にはSteve Smithはアルバムに一部参加したが、両名ともツアーに参加しなかった。このためアルバム制作時のメンバーはSteve Perry、Neal Schon、Jonathan Cainの3人であった。
本作はタイトルが示す通り、アメリカのラジオ文化に対する彼らの思いを綴っている。1980年代の音楽業界はMTVを主体としたビデオ・クリップなどが全盛の時代で、バンドのメンバーが育ってきた音楽環境とは大きく異なっていた。そういう意味でも「原点回帰」の意味合いが込められたアルバムとも言える。
全盛期にプロデューサー、エンジニアとしてJourneyのコズミックなサウンドを支えたMike Stoneがバンドを離れ、代わってヴォーカルのSteve Perryがプロデューサーを兼ねている。Jim Gainesがアソシエイティッド・プロデューサーとして実務面エンジニアを務めている。ミックスはBruce SpringsteenやDavid Bowieに携わったBob Clearmountainが担当。カヴァー・コンセプトまでがSteve Perryのもと行われ、実際のカヴァー・イラストはMichael Cottenと、かつてJourneyの前身バンドにドラマーとして在籍したPrairie Princeが手がけた。
サウンド面ではメロディアス・ロックの要素がより強くなっている。1970年代のようなハードロック・サウンドは影を潜め、Journeyのアルバムの中でも最もポップで聴きやすい作品に仕上がっている。シンセチェンバロやサックスなど従来のJourneyのバンドサウンドにはなかった楽器も使用し、各プレイヤーそれぞれが個性を生かした演奏を聞かせ、セッション的性格の楽曲が並ぶ。
解散説が飛び交う中で発売され、Billboard 200で全米4位というヒットを記録。そして、その噂通りバンドは「Raised on Radio Tour」(1986/8/23~1987/2/1)が終了した時点で活動を停止することになる。前作リリース後すでに活発であった核の3人の各ソロ活動は拡充されるが、脱退したRoss Valory(b)は引退、Steve Smith(ds.)は本来のジャズ/フュージョンの分野へと戻っていく。
同年2月に亡くなった元Thin LizzyのPhil Lynottにささげられている。
アメリカだけで200万枚(RIAAよりダブル・プラチナ認定済)以上、世界で400万枚以上のセールスを記録している。
Recorded:October – December 1985, Record Plant in Sausalito, California and Fantasy Studios, Berkeley, California
Producer:Steve Perry, Jim Gaines