昔、かのへヴーメタルシンジケートで酒井さんが、「最近輸入版でいいのを見つけたんだよ」と言ってあるスペインのバンドを紹介したのを覚えていらっしゃるでしょうか。それがこのMAGO DE OZでした。あの時はこのアルバムからブラームスのハンガリー舞曲第5番を取り入れた「El Santo Grial」と、RAINBOWのThe Temple Of The Kingをスペイン語でカバーした「El Templo Del Adios」が紹介されました。そのとき初めて私もこのバンドを知って、いいな、と思ったのですが、運命的に私はスペイン語を勉強している身なので、スペイン語上達のためにこのCDを買ってからほんとにはまってしまいました。 とにかくいいバンドです。私以外の人たちにもこのバンドを知って欲しいと思います。そうすれば日本でも彼らのCDが発売され、さらには来日、そしてスパニッシュ・メタル・ブームの到来。と、このようなシステムになっております。
3rdです。 唯一の疾走曲「El Santo Grial」は、南瓜のRide The Skyみたいな感じで始まって、Violinも導入されたり、アンドレ・マトス系のVo.が暑苦しく歌い出す極上XaMetal。せっかくのXaMetalなのに、ハンガリー舞曲第五番が引用されているのがマイナス。ただ、ツインリードソロは、強烈な哀愁度が...。 後は、そんなに印象に残りませんでした。 個人的には、クサメタラーよりも民族音楽好きにお薦めしたいです。最後の、土着性たっぷりの「Ancha es Castilla」が郷愁を誘います。
現在の彼らの音に直接繋がる個性が爆発した3rdアルバムです。 以前までのアルバムのような「何でも屋」的な感覚はかなり押さえられ、 「El Santo Grial」を聴けばわかるように、本気のメタルをやっています。 それでもタイトル曲などは笑ってしまうほど無茶苦茶やっているんですが、 このアルバムではしっかり個性として確立されていて、不自然さなど微塵もありません。 バイオリンとギターのハモリなんてギャグのような演出をしっかりと聴かせるなんて技、他のどのバンドでも聴けませんよ。 レインボーの名カバーや、得意の転調がプログレ的なレベルにまで達してしまった⑫「Requiem」など、曲も良いものが沢山詰まっています。 また、本格的なトラッド曲⑩「La Insula de Barataria」や、後のライブ盤で超絶なアレンジで演奏される⑬「Ancha es Castilla」、そして前代未聞のフォークシャッフルで代表曲となった⑤「Molinos de viento」などは民族音楽好きにもアピールし得る曲です。 どれもこれもとにかく曲が良いですので、是非とも聴いてみてください。欧州ではかなりの人気を誇るそのわけが、わかる筈です。 ちなみにブックレットにはメタル界のあの大御所と一緒に映っている写真があって、これは驚きました。後に北欧の白豚とまで共演してしまいますが、3rdの時点でこれですから、本当、欧州での人気は凄いんですねえ。実感など少しも沸きませんけれど。