1983年4枚目「制覇への野望」。 洗練された70年代アメリカン・ハードロック。 シンセサイザーやコーラス等、産業ロック風味の洒落た感じが増えてきた。後から聞いてみれば、"Eye of the Tiger"では無い、次を予感させますね。 軽快な"It Doesn't Have to Be This Way"、あの曲に繋がりそうな"Slander"が良いですね。 物悲しや、切なさを感じさせてくれた、デイヴ・ビックラーも流石です。 ジミ・ジェイミソンは最近のライブでも"Caught in the Game"を歌っている。好きなのかな?
制覇への野望という邦題が逆に仇になってしまった4枚目のアルバム。バンドとしては前作の成功を受け脂が乗り切っていただけに、セールス的な惨敗はトラウマ級の衝撃でしょうね。元々、本格派のアメリカンロック路線だっただけに、どこか前作のヒット曲「EYE OF THE TIGER」は本ネタの合間に紹介したリズムネタが跳ねすぎたお笑い芸人に様であり、いやいや、あれはタイアップソングですからな匂いもしてくる。 それだけに、今作はおもてたんと違うと思われたのか、売れなかったが為に駄作の烙印を押されるのだが、そういう当時の風潮を知らなければ印象は大きく異なるでしょう。むしろアメリカンプログレ的なニュアンスも盛り込み、どこか知性を漂わせているのがポイント。産業ロックなる言葉で揶揄される彼等ですが、ギターもハードに迫りキーボードが全開と言う訳ではない。質の高いアーティステックな感性と親しみやすさ、ヒットポテンシャルもそこそこに、ロックな牙を剥いている。ベタだけど③とかも素直に心に響くバラードじゃないの、と彼等に対する期待値は十分に飲み込んだ力作ですよ。やっぱりベレー帽がイケないのかなぁ?