80年代に活躍したバンドの多くが無理にヘヴィ路線に進み、失敗した例は多いが、彼らはいきのいい若手がバックを固めていることもあり、ごく自然に過去の伝統を踏まえつつ時代に乗った音を出しているように思う。 「PARK MANOR~CRUCIBLE」のヘヴィなオープニングは賛否両論あると思うが、続く「ONE WILL」は正統的なメタル・ナンバー。 そしてアルバムのハイライトである「BETRAYAL」ではイントロがPRIESTの「EXCITER」や「PAINKILLER」を彷彿させる名曲で、ボビーの凄まじいドラム・プレイとロブの超絶スクリームが聴ける。 続く「HANDING OUT BULLETS」もヘヴィかつスピーディーな好曲。 ボビーが叩きまくりの「HEARTS OF DARKNESS」、うねりのきいた「CRYSTAL」、ザクザクとしたギターリフの「HERETIC」、ヘヴィな曲調からスピーディーに展開する「GOLGOTHA」あたりは正直中だるみするが、ロブが低音で歌うブルータルな「WRATH OF GOD」で再び疾走感を取り戻す。 続く「WEAVING SORROW」も少々退屈だが、妖しい曲調の「SUN」で東洋的なカッコイイギターリフを聴かせてくれる。 本編ラストの「TRAIL OF TEARS」もヘヴィだがサビのメロディは美しい。 ボーナストラックの「ROCK THE WORLD FOREVER」ではヘヴィなリフが押し寄せ、「IN THE MORNING」はPRIESTの「BEFORE THE DOWN」のような美しさ。 ほとんどが疾走感のある曲で占められていた前作とは対照的に重さに重点を置いたようなアルバムだ。 賛否両論あるだろうが、古臭さは全くなく、自分は結構好き。
23. YOUTH ★★ (2003-10-29 23:24:00)
本家の方は時代に引きずられてなんとなくこうなりました的意味合いが強いように感じた事は否めなかったのだが、こちらのHALFORDのこのアルバムは一辺倒のモダンヘヴィネスを模倣するものではなく、私のように否定的リスナーをも引き込む力のある作品になっている。 歌い方やサウンドアプローチが変わったように映るが、その一メタルヴォーカリストとしての姿勢は一貫しており本質的にはなんら変わっていないことに気づくはずだ。 “BETRAYAL"然り“HANDING OUT BULLETS"然り、攻撃的で煽情的な曲も多く私はモダンヘヴィネスだけで到底括ることのできないまさにメタルなアルバムだと思う。 余談だが、今のままのサウンドをそのままジューダスプリーストへと持ち込んだ時とんでもないアルバムを作るのではないだろうか、そうすると彼らは再び王座へと君臨することも可能性としてはかなり高いのでは?