ANTHRAXは4thの「STATE OF EUPHORIA」の頃までは、何を言われても「おいおい、オレらはANTHRAXだぜ!!」と半ば冗談っぽくいなしてきたイメージがありましたが、このアルバムでの彼らは本気の「怒り」の表現をしてきたように思いました。発表された90年という時代もあってか、全体が怒りに満ちた雰囲気を持っています。 冒頭から6~7分の曲を連発し、そのどれもが怒気をはらんだアグレッシブな曲で、聴き手に息をつかせる暇を与えません。それまでにあったおふざけ的な要素を排除して本気のアグレッションを叩きつけた1枚です。 ただしその攻撃的なテンションが高すぎるのと、一切の妥協無しに怒りの表現をしている点から、それまでの彼らにあった「スラッシュなのにとっつきやすい」というANTHRAXならではの個性を消してしまった1枚だと思います。名盤とは思いますが、ANTHRAX初心者の方は他のアルバムから先に聴いた方が無難かもしれません。
なんとなくアンスラックスは2ndと3rdが名盤というイメージがあり、買わずにいたのですが、これは強烈ですね。『AMONG THE LIVING』よりインパクト強いかも。これぞスラッシュ。かっこいーから曲の長さも気にならないです。 最初はヴォーカルが単調に聴こえて、そこだけもったいないなと思っていたのですが、繰り返し聴くうちに気にならなくなりました。ちょっと惚れ直した。
彼らの90年の作品。5thアルバム。 速くてヘヴィでカッコよくてメロディアスなものが聴きたかったこの頃、最もお気に入りのバンドだったのがこのANTHRAX。 生まれて初めて購入したアルバムである。 前作「STATE OF EUPHORIA」は親しみやすいメロディを備えた秀作だったが、この作品は彼ら特有のユーモアは希薄で、ダークでシリアスなテイストに包まれている。 この頃、彼らを代表とするスラッシュ・メタルは生き残るための変革を迫られていた。 かつて最も刺激的な音楽だったスラッシュ・メタルが、世にあまりにも溢れ出てしまったため飽和状態となり、逆に退屈な音楽になり下がろうとしていたのである。 そういう意味でANTHRAXも新しい方向性を見い出そうとしたのだろうが…、今作は少し意気込み過ぎた感が強い。 後に、その反動がおちゃらけた「ATTACK OF THE KILLER B'S」という形で表れる。 シリアス路線は“High Energy,Low IQ"のイメージを払拭したかったという意図もあったかもしれない。 しかし、彼らはそれまでにも特に自己の内面をテーマにした詞も書いてきているのだ。 彼ららしさはあまりみられなかったが、とても内容の濃いアルバムではあったと思う。 重く緩急の激しい③の「Keep It In The Family」は、今でもたまに聴くお気に入りの曲だ。
最初は"Got the time"しかピンと来ませんでしたが、 人を苛々させようとしてるとしか思えないような執拗なまでのへヴィさ・シリアスさが妙にハマる。 何度聴いてもその本質に近づけたんだか近づけてないんだかさっぱり分からない、 メタリカの「...And justice for all」と近いような感覚が何とも好きです。
結果的にジョーイ・ベラドナ(Vo)が在籍しての最後のスタジオ・アルバム(企画盤を除く。)となってしまった `90年発表の5th。 プロデューサーは前作に引き続きマーク・ドッドソンを、ミックスにはMETALLICAやTESLA等を手掛けた敏腕スティーヴ・トンプソン&マイケル・バービエロを迎えている。 前作「STATE OF EUOHORIA」は、アメリカ社会の抱える問題に焦点を当てた歌詞の影響もあってか非常に暗いサウンドのアルバムであったが、「時」をテーマにした本作においても、歌詞のメッセージ性は相変わらずであるし、サウンドもこれまで以上にヘヴィであるものの、リフやメロディにかつてのキャッチーさが戻ってきたのが大きな特徴。 時計のチクタク音のイントロで始まるヘヴィなオープニング曲「TIME」、トライバルなリズムで始まるメロディアスな「BLOOD」、あまりにもヘヴィなギター・リフの「KEEP IT IN THE FAMILY」、これまたメロディアスな部類に入る本作屈指の名曲「IN MY WORLD」、メロディアスなベース・リフを奏でるインスト曲「INTRO TO REALITY」、グルーヴ感に満ちたヴォーカル・メロディ主導の「BELLY OF THE BEAST」、ジョー・ジャクソンの代表曲のハイ・テンションなカヴァー「GOT THE TIME」といったナンバーは文句なしに素晴らしいし、リズム隊による重く暗いプレイが圧巻の「GRIDLOCK」、パンキッシュなギター・リフの「H8 RED」、BLACK SABBATH直系の引き摺るような重さのイントロで始まる「ONE MAN STANDS」、スコットがヴォーカルを取るDISCHARGEのカヴァー「PROTEST SND SURVIVE」、ハード・コアな「DISCHARGE」といったバンドのルーツを露にした楽曲も悪くはないが、ジョーイの歌唱力を活かしたサウンドからは遠ざかったままであったと言える。