「1%の希望よりも99%の絶望を知る事から始める」といういうトム・ヨークの姿勢は、例えばdreamer(夢追い人)であったジョン・レノンよりも今日では支持されるのであろうか。 この作品を2003年度のalbum of the yearに選んだ音楽誌はかなりあったはずである。 この作品はこれまでトムが吸収し続けてきたものを下地にし、自らの言葉と音楽で解放した初めての作品だと思う。 現代は、生産を重視し貪欲に消費しようとする精神が社会を支配している。 そういったマインドコントロール下におかれた私達は、いつ敵意や悪意に満ちた力にとり憑かれてしまうか分からない…。 苦悩し漂流する現代人の代表として、トムがその事を私達に教えてくれる。 そして、そうした生真面目に模索する彼の姿勢に、私達は好感を覚えるのだ。 ラストナンバーの「A Wolf at the Door,(It Girl, Rag Doll)にはかなりゾクゾクさせられた。