1988年発表の唯一の作品。 デンマークのバンドですが、音は昔よく聴けたアメリカと北欧の丁度中間とも言えるウォームな質感。 キーボードもベタに攻めず、あくまで雰囲気作りのための味付け程度なので聴きやすい(個人的にはFATEの2nd並みでもOKですが)。 220VOLTのVoを彷彿とさせるアレックス・サヴェイジの気だる目Voのせいか、この手のバンドに多い「洗練されすぎないマイナー臭さ」があってマニアが反応するのも納得できます。 こういう音のバンドって出た当時は殆ど見向きもされない分、時間が経ってようやく評価されがちですが、これには納得です。 曲の出来は割と平均的ですが、BRING HOME YOUR LOVEはその中でも良くできたバラード。
ROYAL HUNTの母体になったことでも知られるデンマークのWITCH CROSS。そこのシンガーだったアレックス・サヴェージが、新たに(つっても80年代の話ですが)立ち上げたバンドの唯一作。 WITCH CROSS時代は、肩イカらせてNWOBHM風味の荒くれパワー・メタル・ソングを歌っていた彼氏ですが、ここでは打って変わって小洒落た衣装に身を包み、“So Much For Happy Ending~♪”と明るく伸びやかな歌声を披露していて、加藤みどりも「なんということでしょう」と度肝抜かれるレベルの劇的改造ビフォーアフター。 見た目だけに留まらず歌唱力の方も、表現力から何から見(聴)違えるような成長を遂げていますし、何よりも本作に託されている、煌びやかなボーカル・ハーモニーとKeyを惜しみなく注ぎ込んだ、80年代ど真ん中のメロディック・ロック・サウンドは、WITCH CROSSの幻影を追い求めるファンをも力ずくで納得させてしまうクオリティの高さ。 特にポップなサビメロがキャッチーな②はアルバムを代表する名曲。それだけでなく、例えばケネディ大統領のベルリン演説を引用した④ではドラマティックな空気を醸成する等、本編はちゃんとハード・ロッキンなエッジと、北欧のバンドらしい哀感/透明感の保全も図られているのだから隙がない。 月並みな表現ですが、アルバム1枚きりで終わってしまったことが惜しまれるバンドでしたね。