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Vespers

ギリシャ産フューネラルドゥーム2020年作
6年ぶりの新作、処女作Absence(2010年)をゲットした頃は、そのオーソドックスで無個性な感じから、優秀だけどフェイバリットバンドとまではいかなかった。
前作(2nd・Waters Of Lethe・2014年)は、処女作の延長上にある音楽性ではあったが、フューネラル度がアップし、ホンモノ感が増した好盤だった。
とはいえ、他バンドとの差異化という点では、百凡の同系バンドに埋もれそうな無個性に、危機感を感じるサウンドだった。そうは言っても前作は結構な愛聴盤になった。
オーソドックスな路線を貫き、音響的クオリティをアップさせた感触が結構ツボにハマったからだ。新作には、更なる進化というよりは、新要素を加えない深化を望むところ。
リリース元のSolitude Productionのショップでゲットしたんですが、結構大々的に宣伝してるあたり、猛プッシュしたいバンドなんだろうなと思う。
ただ、ボクとしては一応★★★としたが、ギリギリラインといった感じ。音響的な雰囲気はイイ感じに高止まりな印象、ただ作品全体としては、ボクは前作の方を推したい。
多くのフューネラルドゥームバンドが失敗するパターンとして、力作を創り上げようとするあまり、音を詰め込み過ぎたり、より凄みをきかせようとしたりすることで
本来このジャンルに求められる淡白さや静けさが失われてしまう、という失敗をしていることがある。今回この作品については、ちょっと音数が増えた印象を持ったことと
ギターを垂れ流した方が雰囲気が良いのに、刻んでしまったなー、と思わせるリフが散見する。そもそも、処女作がそういう作風で、2ndでその問題が解消した感があるので
処女作にあった不満点を再び抱えてしまった、と思っている。バンド名の直訳が「打ちひしがれた希望」なんだから、刻んで躍動感を出してはダメだよ。
グダグダにドロリーンと垂れ流して無気力な人生残念感を出して欲しかった。ただ、この作品と前作を何度も聴き比べたことで、前作のクオリティが相当高かったことを
再確認できたな、と思っている。ポテンシャルは高いバンドだ。次作に期待しつつ、今作ももう少し聴いてみようと思う。ダメ出ししたけど、良い作品だよ。

kamiko! ★★★ (2021-01-13 03:15:20)


Waters of Lethe

ギリシャ産フューネラルドゥーム2014年作
ジャケは前作よりも更に地味になり、ジャケの文字すら薄すぎて見づらい。茶褐色モノトーンジャケに全く色彩はなく
その色気のナイ地味すぎるジャケを見ると、もはや人生に希望が持てないホドに打ち砕かれたのか、とアーティストたちが心配になる。
一応ケースの裏ジャケは茶褐色ながら山と雲の風景が描かれているが、ホントに地味なバンドだ。単にジャケに金かけてないだけかも知れんが。
音楽性は前作の延長上で、全くコマーシャルなところや、明るさなど一切無い、ど真ん中フューネラルドゥームを展開する。
他バンドに比べて際立った個性は相変わらずナイ。音圧もヘヴィだが、決してスゴイ重量ではない。
ヴォーカルもありがちなデスヴォイス、シンセも適度・・・なのに、その音楽性に没頭してしまうから不思議だ。
ホント、きちんと楽曲を作ってる。終始超スローなのに、全く飽きさせないリフ、アレンジ、ドラマチックさが素晴らしい。

kamiko! ★★★ (2020-05-24 22:26:22)


Absence

ギリシャ産フューネラルドゥーム2010年作
バンド名を直訳すると「打ち砕かれた希望」だ。そのまんま、直球の人生残念ドゥーム決定版だ。
ヘヴィなギター、ムードたっぷりのシンセ、もう立ち上がれないほどに遅いテンポ、唸るようなヴォーカル。
その全てが鬱系ドゥームど真ん中の音楽性で、こういうMournful Congregationぽい世界観のドゥームはワリとよくある。
しかし、このバンドは決して際立った個性派ではないのに、集中力が途切れることなく、その音楽性に浸ることができる。
それだけ、しっかりした楽曲構成力があり、ドラマチックで静かなる迫力を秘めているのだ。
ジャケを含め、非常に地味な印象のあるバンドだが、結構奥深く聴き応えがある。

kamiko! ★★★ (2020-05-24 22:14:15)