ワタクシのJP初体験は復讐の叫びという邦題がなんかカッコイイSCREAMING FOR VENGEANCE、そして次作のDefenders of the Faithだった。ヘヴィメタルの聖典として、多くのフォロワーを産んだ名盤。そして、80年代に巻き起こるハードロックからメタルへの移行、その時代の象徴となる作品が今作だと教えて貰ったが、国内盤はUS盤仕様と同じくBreaking the Lawから始まるという構成が良くなかった。 余りにも単調なリフとリズム、妙なキャッチーさ、そしてソロはブワーッと弾くという流れ、あと銀行強盗に押し入るショーもないPVも更にマイナスで、ライブではテンポアップしてやったが、アメリカ仕様なのだろうがオープニングナンバーとしては弱かった。特に2曲目のRAPID FIREがカッコ良かったので、絶対にオープニングはコッチだと思う。 しかし、本来は②がオープニングで①が3曲目だと聞いて妙に納得した。そしてそういう曲順にして聴くと実にシックリくる。エッジの立ったメタルギターとリフ、そして加速化したサウンドの①からミドルに②へと流れ、哀愁のメロディとキャッチネスさを意識した③は実にハマっている。 だから④のGRINDERもシンプルに力強く刻まれるリズムとリフに耳が持っていかれる。サビメロが印象的なスケールの大きい⑤、オリジナルの6曲目はYou Don't Have to Be Old to Be Wise、7曲目がLiving After Midnightとなる。正直、この並びでは⑥は地味に感じるが曲自体はコマーシャル性のある曲であり、次作以降に引き継がれるアイデアの雛形だ。 今作は、今聴いても新鮮さがある。そのフレッシュ感の正体は、音楽に対する忠誠心だろう。邪な感情ではなく時代を見据え対峙した中堅バンドの捲土重来とも言うべき、渾身の一枚。その狙いすました音楽性は、新時代の幕開けに相応しい勢いとハードエッジに富んだ作風だ。
'24年の19thアルバムです。 ロブ復帰後、『ANGEL OF RETRIBUTION』以降の作品では一番好きだなー。 まず1曲目のインパクトがキョーレツです。なんたって「ぱにっく・あたっく」ですよ。このタイトルに対して「メタル・ゴッドの威厳」とか「ブリティッシュHMの栄光」なんて仰々しい形容は似合いませんよね。「楽しんでくれよ」っていうサービス精神が感じられます。ま、1stからちょいちょいおかしなタイトルを入れてきたPRIESTの、変てこサイドを象徴するような曲。博多ラーメンの麺を「バリカタ」と注文したくなるサビの連呼の歯切れよさときたら! 今回、久々にスコットのドラムスが目立っていて、アルバム全体の推進力になっている気がします。 ギターのフレーズも、これまでの「らしさ」に囚われない軽妙さを感じさせる音色やメロディが散見されてgood。 ロブの歌もすっきり抜けが良く録られていて、若々しく勢いがあります。歌メロの使いまわし感はそこそこありますが、ヴァリエーションの豊富さはさすが。新鮮味を感じさせる曲も前作より多い印象です。 あとは彼らのメロディアス・サイドの曲としては歴代屈指なんじゃないかと思われる(5)「Gates of Hell」、(6)「Crown of Horns」の存在が大きいですね。『TURBO』あたりに入っていても十分に代表曲入りしそうなレヴェル。まだ余力あるなー、この人たち。 硬軟取り揃え、勢いも取り戻した感があり、幅広くおすすめしたい良盤です。