2000年10月2日、Parlophone Recordsよりリリースされた4thアルバム。
レコーディングは、プロデューサーのナイジェル・ゴッドリッチの下、パリ、コペンハーゲン、グロスターシャー、オックスフォードで行われた。このアルバムから曲作り、レコーディングを通してRadioheadはエレクトロニカサウンドへと接近していった。発表される前、1998年に入った頃に発表されたバンドのツアービデオ作品「Meeting People Is Easy」において、Jonnyに対してThomが振りむき、次のように弁舌するシーンがある。「去年の僕らは最もイケてたバンドだったよな。世界中のどの人気投票でも1位だった」「でもそんなものは何もかもクソだ。何の意味も無い。すべてが変わってしまった。完全にイカれてるだけだ」
このアルバムの音楽性に直接の影響を与えたものとしては、クラウト・ロック、ジャズ、20世紀の現代音楽などが挙げられる。Radioheadのサウンドの特徴であった3本のギターは過去のアルバムと比較すると鳴りを潜め、インストゥルメンタル的な使われ方をしている。ギター以外ではキーボード、オンド・マルトノ、ストリングスなどのサウンドが目立つ。メンバーは一貫して、このアルバムはポップレコードである、という主張を続けているが、未だにそれは議論の対象となっている。
Thom Yorke は、「奴ら(音楽業界のマス連中)が思うほど、大衆の耳は馬鹿じゃない。聴こえのいいものだけを聞かせて金を巻き上げることが音楽産業だということに間違いはないけれど、許容され得る範囲はもっと広い」などとも、当時のインタビューで語っている。
大々的なシングルやPVの制作を行わなかったにもかかわらず、イギリスでは発売1週間で30万枚以上を売り上げ、アメリカでもアルバムチャートで1位を獲得、日本でもアルバムチャートで3位に入るなど成功を収め、世界中で400万枚以上を売り上げた。
発売当初はメディア/プレスから賛否両論を受けた作品であったが、現在では2000年代を代表する名盤との評価が確立しつつある。『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500』に於いて、67位にランクイン。2009年、同誌が行った企画「2000年代のアルバム・ベスト100」で1位、。さらに同年、米国で最も影響力のあるレビューサイトのひとつ、ピッチフォーク・メディアの「The Top 200 Albums of the 2000s」においても、Kid Aは第1位に選ばれている。